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【沖縄の経営者必見】M&A(企業買収・事業承継)で見落としがちな労務管理の落とし穴とは?

沖縄では、近年M&A(企業の合併・買収)や事業承継のニーズが高まっています。

特に中小企業では「後継者がいない」という理由で廃業を選ぶケースも多く、2020年には沖縄の後継者不在率は全国ワースト1位。2022年の調査では全国5位まで改善しましたが、依然として全国平均より高い状況が続いています。

そこで注目されているのが、M&Aを活用した事業承継です。
ただし、M&Aの成功には「労務管理の整備」が欠かせません。

 

M&Aで労務管理が重要な理由

買い手企業が最も気にするのは、「引き継ぐリスク」です。
そして、リスクの中でも特に見落とされがちなのが「労務面の問題」。

以下のようなリスクが、M&A後に“地雷”となって表面化するケースがあります:

 

✅ 未払い残業代の発覚

✅ 労働条件通知書や雇用契約書の未整備

✅ 社会保険や労働保険の未加入

✅ パート・アルバイトの待遇差(同一労働同一賃金未対応)

✅ 問題社員への対応履歴が残っていない

 

こうした点がデューデリジェンス(事前調査)で発覚すれば、買収価格の引き下げや、最悪の場合M&A自体の白紙撤回もありえます。

 

M&A前に整備すべき労務管理のポイント

M&Aを成功させるには、以下のような“労務の棚卸し”が重要です。

1. 就業規則の整備・見直し

→ 社員数10名以上の会社は届出義務あり。最新の法改正に対応していますか?

2. 雇用契約書・労働条件通知書の発行

→ 契約内容の不備はトラブルのもと。全社員分がそろっているか確認を。

3. 労働時間の適正な管理

→ タイムカードや勤怠システムの導入で、残業代トラブルを未然に防止。

4. 社会保険・雇用保険の適正加入

未加入は違法になるケースも。雇用形態ごとの見直しが必要です。

5. 賃金体系と人事評価制度の明文化

→ 属人的な運用から脱却し、可視化・説明可能な仕組みをつくることが大切です。

 

M&A前後に社労士ができるサポート

M&Aを検討している経営者・人事担当者の方へ。
社会保険労務士は、次のようなサポートが可能です:

  • 🔍 労務デューデリジェンス(事前調査)

  • 📄 就業規則・雇用契約書の整備

  • 💬 トラブル社員・労務リスクへのアドバイス

  • 📊 勤怠・給与管理のクラウド化支援

  • 🤝 M&A後の人事制度統合支援(PMI)

まとめ|事業承継・M&Aは“労務”がカギ!

M&Aの成否を左右するのは、「数字」だけではありません。
見落とされがちな「人」の部分、すなわち労務管理の整備こそが、企業価値の源泉になります。

 

沖縄での事業承継やM&Aをご検討の方は、ぜひ労務の専門家である社労士にご相談ください


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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