こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
沖縄労働局から令和7年度の最低賃金改正に関する公示が発表されましたね。毎年この時期になると、経営者の皆さまから「今度はどのくらい上がるの?」「準備はいつから始めればいいの?」といったご相談をいただきます。
今回は、沖縄県の中小企業経営者・人事担当者の皆さまに向けて、最低賃金改正への実務対応についてお話ししたいと思います。
▲沖縄県最低賃金の決定(改正決定)に係る関係労働者及び関係使用者の意見聴取 に関する公示(沖縄労働局)
📈 最低賃金改正の流れと今後のスケジュール
現在、沖縄地方最低賃金審議会が調査審議を始めており、関係労働者・使用者からの意見聴取期間が7月15日(火)17時までとなっています。
この後のスケジュールは例年以下のような流れです:
- 7月中旬~8月 審議会での検討・答申
- 8月下旬~9月 最低賃金額の決定・公示
- 10月上旬頃 新最低賃金の発効
つまり、実質的な準備期間は約2ヶ月程度しかないということです。
⚠️ 中小企業が直面する現実的な課題
最低賃金の引上げは、中小企業にとって単なる時給の調整以上の影響をもたらします。特に沖縄県では、観光業や小売業など最低賃金に近い水準で多くの従業員を雇用している企業が多く、その影響は深刻です。
人件費の圧迫
時給が上がることで、直接的に人件費が増加します。特に多くのパートタイマーを雇用している企業では、その影響は年間数百万円に及ぶことも珍しくありません。
既存従業員との賃金バランス
最低賃金の引上げにより、経験豊富な従業員と新入社員の賃金格差が縮まってしまう問題も発生します。これは従業員のモチベーション低下につながる可能性があります。
🔧 今すぐ始める実務対応のポイント
1. 現状把握と影響度の算定
まずは現在の賃金台帳を確認し、最低賃金改正による影響を具体的に数値化しましょう。単純に「時給×時間×人数」だけでなく、社会保険料や賞与への影響も含めた総コストを算出することが重要です。
2. 就業規則・賃金規程の見直し
最低賃金改正に伴い、就業規則や賃金規程の改定が必要になる場合があります。特に「最低賃金額」を明記している場合は、自動的に改正されるよう工夫しておくことをお勧めします。
3. 生産性向上施策の検討
人件費の増加分を吸収するためには、生産性向上が不可欠です。業務プロセスの見直し、デジタル化の推進、従業員のスキルアップなど、中長期的な視点での取り組みを計画しましょう。
💡 助成金の活用も検討を
最低賃金の引上げに対応するため、国や県では様々な助成金制度を用意しています。業務改善助成金や働き方改革推進支援助成金など、設備投資や制度改善に活用できる制度があります。
ただし、助成金の申請には一定の準備期間が必要ですので、早めの検討をお勧めします。
🤝 従業員との丁寧なコミュニケーション
最低賃金改正は、従業員にとっても大きな関心事です。改正内容や会社の対応方針について、事前に丁寧に説明することで、従業員の理解と協力を得ることができます。
「なぜこの時期に改正されるのか」「会社としてどのような準備をしているのか」を透明性を持って伝えることが、信頼関係の構築にもつながります。
🎯 まとめ:準備は今から始めよう
最低賃金改正は避けて通れない課題ですが、適切な準備と対応により、企業の持続的成長につなげることも可能です。
重要なのは、単なるコスト増として捉えるのではなく、人材確保や生産性向上のきっかけとして前向きに取り組むことです。
📞 お困りの際はお気軽にご相談ください
つばさ社会保険労務士事務所では、最低賃金改正対応から就業規則の見直し、助成金申請支援まで、沖縄の中小企業の皆さまをトータルでサポートしています。
個別のご状況に応じた具体的なアドバイスをご提供いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
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