
はじめに
こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。沖縄の中小企業の皆さまが、従業員のスキルアップと組織力強化に取り組む際に、ぜひ知っていただきたい制度があります。それが025年10月からスタートする「教育訓練休暇給付金」です。
この記事では、沖縄の経営者・人事担当者の皆さまに向けて、この新しい制度の概要から活用のメリット、実際の手続きまでを分かりやすく解説します。
教育訓練休暇給付金とは?
制度の概要
教育訓練休暇給付金は、従業員が離職することなく、教育訓練に専念するために自発的に休暇を取得する場合に、その期間中の生活費を保障する制度です。失業給付に相当する給付として、賃金の一定割合が支給されます。
支給対象者の要件
支給を受けるためには、以下の条件を満たすことが必要です:
- 被保険者期間の要件:休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
- 雇用保険加入期間の要件:休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること

給付内容とメリット
給付額・期間について
- 給付期間:雇用保険加入期間に応じて90日~150日
- 給付日額:休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定
- 支給額の目安:月収25万円の場合、約17万円/月の給付
企業にとってのメリット
従業員のスキルアップ促進
長期間にわたる集中的な教育訓練により、従業員の専門性向上が期待できます。沖縄のIT企業で上位資格取得のために活用したり、観光業界で語学習得に専念したりと、業界特性に応じた活用が可能です。
離職防止・エンゲージメント向上
従業員のキャリア形成を支援することで、組織への愛着度が高まり、優秀な人材の定着につながります。
組織の持続的成長
新しい知識・スキルを身につけた従業員が職場に戻ることで、組織全体のレベルアップが図れます。
制度活用時の注意点
事業主が把握すべきポイント
就業規則の整備が必須
教育訓練休暇制度を就業規則または労働協約等に規定する必要があります。制度導入前に、働き方改革推進支援センターへの相談をお勧めします。
解雇予定者は対象外
解雇や雇止めを予定している労働者に対して制度を適用することは認められません。虚偽の届出を行った場合、罰則の対象となりますので十分注意が必要です。
事業主の協力が不可欠
給付金を受けるのは労働者本人ですが、賃金月額証明書の提出など、事業主の皆さまのご対応が必要な手続きがあります。
手続きの流れ
事業主が行う主な手続き
- 就業規則等への制度規定
- 労働者との合意
- 賃金月額証明書のハローワーク提出
- 必要書類の労働者への交付
手続きは段階的に進み、労働者とハローワークとの連携も重要になります。詳細な手続きについては、事前にハローワークでの確認をお勧めします。
まとめ
教育訓練休暇給付金は、沖縄の中小企業にとって従業員のスキルアップと組織力強化を同時に実現できる有効な制度です。ただし、制度の活用には適切な準備と理解が必要不可欠です。
制度導入や活用に関してご不明な点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。沖縄の企業の皆さまの持続的な成長を、私たちがしっかりとサポートいたします。
つばさ社会保険労務士事務所へのご相談
教育訓練休暇給付金の制度導入から活用まで、沖縄の中小企業の皆さまを全面的にサポートいたします。就業規則の整備、手続きの代行、従業員研修まで、ワンストップでご対応いたします。
まずはお気軽にお電話またはメールにてご相談ください。沖縄の企業の皆さまの人材育成と組織づくりを、実務経験豊富な専門家がサポートします。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
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