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経営者・総務担当者必見!労働条件の変更を行う際の重要ポイント

労働環境の変化に伴い、企業は時に労働条件の見直しや変更を検討する必要があります。しかし、労働条件の変更は慎重に進めなければ、従業員とのトラブルに発展する可能性があります。本記事では、労働条件変更に関する重要なポイントを解説し、適切な対応方法をご紹介します。

1. 労働条件の変更には「合意」が原則

労働契約法では、労働条件の変更は 労働者と使用者の合意 に基づいて行うことが原則とされています(労働契約法第3条・第8条)。

 

✅ 合意による変更のポイント

  • 労働者が納得するよう十分な説明を行う
  • 書面にて合意内容を明示し、双方が確認できるようにする
  • 一方的な変更は避け、対話を重視する

従業員との信頼関係を築くためにも、十分なコミュニケーションが不可欠です。

 

2. 就業規則の変更による労働条件の変更

労働条件の変更を 就業規則の変更 によって行う場合、一定の要件を満たせば 労働者の合意がなくても変更が有効 となることがあります(労働契約法第9条・第10条)。

 

✅ 就業規則変更による変更の条件

  1. 変更が合理的であること
    • 労働条件の変更の必要性
    • 変更後の条件の相当性
    • 労働者が受ける不利益の程度
    • 労働組合や従業員代表との交渉の状況
  2. 労働者に周知させること
    • 変更後の就業規則を全従業員に周知する(掲示、書面配布、電子通知など)

不合理な変更は無効と判断されるため、慎重に進めることが求められます。

3. 配置転換・出向の注意点

企業の業務運営上の必要性から、従業員の 配置転換や出向 を行うことがあります。ただし、裁判例では 不当な動機や目的に基づく配置転換は無効 と判断されることがあります。

✅ 配置転換・出向の注意点

  • 就業規則に根拠があるかを確認
  • 業務上の必要性があるかを判断
  • 従業員に過度な不利益を与えないよう配慮
  • 子育て・介護中の従業員には特に配慮(育児・介護休業法第26条)

適切な配慮がない場合、違法と判断されることもあるため、慎重な対応が必要です。

 

4. 労働条件の引き下げは慎重に

企業の経営状況が悪化した際、賃金の引き下げや手当の削減を検討することがあります。しかし、 労働条件の不利益変更 はトラブルの原因となりやすいため、慎重に進めなければなりません。

✅ 不利益変更の注意点

  • 原則として労働者の同意が必要
  • 就業規則の変更で行う場合は合理性が必要
  • 十分な説明と代替措置の検討(手当減額の代わりに他の補助を増やすなど)

違法な賃金引き下げは 労働基準法違反 となり、企業の信用問題にも関わります。

5. 解雇・雇止めとの関係

労働条件の変更を拒否した従業員に対して 解雇や契約更新拒否(雇止め) を行うことは、違法となる可能性があります。

 

✅ 違法になりやすいケース

  • 労働条件の変更を拒否したことを理由に解雇する
  • 更新が期待されている有期契約の雇止め
  • 特定の従業員にのみ変更を強要する

解雇や雇止めを行う場合は 客観的な合理性があり、社会通念上相当 でなければならないため、慎重な対応が求められます。

 

まとめ

労働条件の変更は、従業員にとって重要な問題であり、慎重な対応が求められます。

 

合意が原則 であり、無理な変更は避ける

就業規則変更で行う場合は合理性と周知が必要

配置転換・出向は業務上の必要性が求められる

不利益変更は慎重に進める

解雇・雇止めと絡めた対応は避ける

 

企業の円滑な労務管理のために、適切な手続きを踏み、従業員との信頼関係を大切にしましょう。

 

「つばさ社会保険労務士事務所」では、労働条件変更に関するご相談を承っております。お気軽にご相談ください!