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【中小企業の労務管理】時間外労働の「上限規制」と36協定の基本をやさしく解説

働き方改革の一環として導入された時間外労働の上限規制。中小企業でも、「とりあえず36協定は出しているけど、内容まで気にしていない…」というケースは少なくありません。

この記事では、時間外労働の上限ルール36(サブロク)協定との関係をわかりやすく解説しつつ、最新の提出様式や作成ツールの注意点までカバーします。

 

✅ 時間外労働の上限規制とは?

労働基準法では、原則として

  • 1日8時間

  • 週40時間

を超えて働かせてはいけません。これを「法定労働時間」といいます。

しかし、業務上やむを得ない事情がある場合は、労使間で「36協定(サブロク協定)」を締結し、労基署へ届け出ることで、一定の時間外労働が可能になります。

🌟 上限の原則

  • 月45時間以内

  • 年360時間以内

🌟 特別条項付きでも超えてよいのは以下の範囲内:

  • 年720時間以内

  • 月100時間未満(休日労働含む)

  • 2~6か月平均で80時間以内

  • 年6か月以内の適用に限定

✅ 作成支援ツールの便利さと限界

📎 作成支援ツール(一般業種向け)
👉 https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support_1.html

このツールでは、以下の書類をオンラインで作成・電子申請できます:

  • 36協定届(様式第9号・第9号の2)

  • 1年単位の変形労働時間制協定

ただし、建設・運送・医師業務の方は紙様式での対応が必要です。

 

✅ 沖縄の企業こそ、正しい運用を

沖縄県内では、人手不足や突発的な業務増が起こりやすく、特別条項の運用が頻発する環境にあります。

だからこそ、

  • 形式だけでなく内容も見直す

  • 新様式や電子申請の流れを理解する

  • 現場と協議しながら協定内容を実態に即して管理する

といった対応が、従業員との信頼関係をつくる労務管理の第一歩です。

 

📝 まとめ

項目 内容
原則の上限 月45時間、年360時間
特別条項あり 年720時間/月100時間未満/平均80時間以内/年6回まで
新様式追加(令和6年4月〜) 建設・自動車運転者・医師に対応した新様式
作成支援ツール こちら(電子申請専用)
新様式の注意点 ツール未対応。Word様式で作成し、紙で提出が必要

 

📣 最後に

36協定は単なる「提出書類」ではなく、働き方と企業の信頼性を支える基盤です。

 

もしも、「ウチも一度見直した方がいいかも?」と感じたら、まずは厚労省のツールや新様式を確認し、必要に応じて社労士など専門家へご相談ください。


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

▶コラム: 私が社労士になった理由