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【続報】障害年金の不支給が倍増 ──支給が認められにくくなっている背景とは?

こんにちは、沖縄の社会保険労務士・玉城翼です。

先日もお伝えした障害年金の「不支給急増問題」について、続報が出ました。2024年度の最新データでは、精神・発達障害における不支給の割合が前年の2倍以上に増えていることが明らかになっています。

 

【独自】障害年金、不支給が倍増3万人に 24年度、幹部交代で厳格化か(共同通信)

 

2024年度、不支給は約3万人に倍増

共同通信が報じたところによると、障害年金の新規申請において、2024年度に不支給と判定された件数は約3万人。これは前年の2倍以上という異常な増え方です。

 

 

障害年金の審査はブラックボックス

障害年金の審査は、

  • 提出された書類のみで行われ、

  • 審査にあたる判定医の専門性や経験年数は公開されておらず、

  • 実際に申請者に会うこともない

という、非常にブラックボックス化した構造になっています。

特に精神障害・発達障害のように「数値で測れない障害」では、判定医の個人的な感覚や解釈の違いによって、結果にばらつきが生じやすいのが現実です。

 

半世紀変わらない基準が、現代とズレている?

現在使われている障害年金の認定基準は、基本的な部分が50年以上前からほとんど変わっていません

例えば、障害基礎年金2級の基準は、

「家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの」

とされています。

しかし今では、障害のある人も福祉サービスや周囲の支援を受けながら、一部就労したり、通所施設に通ったりするのが当たり前になっています。

古い基準と、現代の障害者支援環境との間には、大きなズレが生じているのです。

 

制度改革は進むのか?

2025年は5年に一度の年金制度改革の年ですが、焦点は老齢年金が中心で、障害年金は今回も置き去りにされる見込みです。

障害年金制度の見直しを求める弁護士や社労士団体は、「障害年金に特化した検討の場を設けるべき」と訴えていますが、国は慎重な姿勢を崩していません。

 

まとめ

障害年金は、生活の土台を支える大切な制度です。
にもかかわらず、審査のブラックボックス化と時代遅れの基準によって、本来支援されるべき人たちが支えられない状況が拡がっています。

今後もこのテーマについて、注視し、必要な情報発信を続けていきます。

 

 

📩 障害年金申請に関するご相談対応可能です。お気軽にご相談ください。


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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