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沖縄の中小企業必見!1か月単位の変形労働時間制で働き方改革を実現する方法

近年、働き方改革の推進により、企業には柔軟な労働時間制度の導入が求められています。特に沖縄県内の中小企業では、観光業や小売業など、月内で繁忙期と閑散期が明確に分かれる業種が多く、従来の固定的な労働時間制度では効率的な人員配置が困難な場合があります。

そこで注目されているのが「1か月単位の変形労働時間制」です。この制度を適切に導入することで、繁忙期の人手不足解消と閑散期の人件費適正化を両立できる可能性があります。しかし、法的な要件を満たさない運用は労働基準法違反となるリスクがあるため、正しい理解と適切な導入が不可欠です。

 

1か月単位の変形労働時間制とは

1か月単位の変形労働時間制は、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以内となるように労働時間を配分する制度です。

この制度の最大の特徴は、特定の日に8時間を超えたり、特定の週に40時間を超える労働時間を設定しても、月全体の平均で法定労働時間内に収まっていれば時間外労働とならない点にあります。

 

導入に適した業種

  • 観光・宿泊業: 週末や観光シーズンに集中する業務
  • 小売業: 月末月初やセール期間の繁忙対応
  • 飲食業: 特定曜日や時間帯の集客対応
  • 運輸業: 月内での輸送量の変動対応

導入に必要な法的要件

 

1か月単位の変形労働時間制を導入するためには、労使協定または就業規則で以下の事項を明確に定める必要があります。

定める事項 具体的内容 注意点
対象労働者の範囲 全従業員または特定部署など 範囲を明確に特定すること
対象期間および起算日 毎月1日起算など 1か月以内の期間に限定
労働日および労働時間 シフト表等で具体的に明示 変更は原則として不可
有効期間 3年以内程度 対象期間より長期間とする

 

労働時間の上限計算

対象期間の労働時間上限は以下の計算式で求められます:

 

上限時間 = 40時間 × 対象期間の暦日数 ÷ 7日

月の暦日数 労働時間の上限
28日 160.0時間
29日 165.7時間
30日 171.4時間
31日 177.1時間

 

時間外労働の正しい計算方法

1か月単位の変形労働時間制における時間外労働の判定は、以下の順序で行います:

1. 日ごとの確認

  • 8時間を超える所定労働時間を定めた日:所定時間を超えた分
  • その他の日:8時間を超えた分

2. 週ごとの確認

  • 40時間を超える所定労働時間を定めた週:所定時間を超えた分
  • その他の週:40時間を超えた分(日ごとの時間外労働を除く)

3. 月ごとの確認

対象期間の法定労働時間総枠を超えた分(日ごと・週ごとの時間外労働を除く)

 

沖縄県内企業での活用事例

事例1:那覇市内ホテル業

週末と平日の稼働率格差を活用し、金土日に10時間勤務、平日を6時間勤務とすることで、残業代を削減しつつ従業員満足度を向上。

事例2:中部地区小売業

月末月初の棚卸し業務に対応するため、月初5日間を9時間勤務、その他を7時間勤務に設定し、効率的な業務運営を実現。

 

導入時の注意点

特別な配慮が必要な労働者

  • 育児を行う者
  • 老人などの介護を行う者
  • 職業訓練または教育を受ける者

これらの労働者については、必要な時間を確保できるよう配慮が必要です。

 

適用除外者

  • 18歳未満の年少者(一部例外あり)
  • 妊産婦が請求した場合

導入のメリットと課題

メリット

  • 繁閑の差に応じた柔軟な人員配置
  • 時間外労働の削減可能性
  • 従業員の働きやすさ向上

課題

  • 複雑な労働時間管理
  • シフト変更の制約
  • 法的リスクの増大

まとめ:適切な導入で企業と従業員の Win-Win を実現

1か月単位の変形労働時間制は、適切に導入すれば企業の効率性向上と従業員の働きやすさの両立を図れる有効な制度です。しかし、法的要件の理解不足や不適切な運用は、労働基準法違反や労働紛争のリスクを招きます。

特に沖縄県内の中小企業では、観光業をはじめとした季節変動の大きい業種が多いため、この制度の恩恵を受けやすい環境にあります。導入を検討される際は、就業規則の整備、労働時間管理システムの構築、従業員への十分な説明を行い、段階的に進めることをお勧めします。

労働時間制度の変更は、企業の根幹に関わる重要な決定です。法的リスクを回避し、制度のメリットを最大限に活用するためには、専門家のサポートを受けながら慎重に進めることが成功の鍵となります。


 

つばさ社会保険労務士事務所では、1か月単位の変形労働時間制の導入支援を行っております。沖縄県内企業の実情に合わせた制度設計から運用サポートまで、トータルでお手伝いいたします。まずは無料相談で、貴社の課題をお聞かせください。