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【年金制度改正法案②】在職老齢年金の見直し|高齢者の就労を後押し(2026年4月施行予定)

📅 令和7年5月16日、第217回通常国会にて「年金制度の機能強化」を目的とした改正法案が提出されました。

 

その中でも注目されているのが、在職老齢年金制度の見直しです。

▲法案説明資料(厚生労働省)

💰 在職老齢年金ってなに?

「在職老齢年金」とは、厚生年金を受給している人が働きながら収入を得ている場合、収入の額によって年金の一部または全部が支給停止される制度です。

現行では、【賃金+年金】の月額が50万円を超えると、その超過額の一部が支給停止されてしまいます。

 

⚙ 今回の見直しポイント

今回の法案では、この支給停止の基準額を50万円 → 62万円に引き上げるという見直しが盛り込まれています(※2024年度価格ベース)。
🔹 施行予定:令和8年(2026年)4月1日から

💡 この引き上げにより、より多くの高齢者が「働きながら年金を満額受け取れる」ようになります。

 

🏢 沖縄企業にとっての影響は?

 

1. 人材確保の新たな追い風

高齢者の就労意欲を後押しする仕組みに変わるため、以下のようなメリットが期待されます。

  • 年金が減る不安が軽減され、高齢者の就労継続がしやすくなる

  • パート・嘱託などでの経験豊富な人材の確保がしやすくなる

  • 特に人手不足の介護・医療・サービス業などでは大きなプラスに

2. 就業調整の回避に貢献

これまで年金が減るからと勤務時間をセーブしていた人も、就業調整せずに働けるようになります。

 

📊 支給停止の対象者数も減少

 

厚労省の試算では…

支給停止基準額 支給停止対象者数 支給停止額合計
50万円(現行) 約50万人 約4,500億円
62万円(見直し後) 約30万人 約2,900億円

📌 年金の満額受給が可能になる人が増える見込みです。

 

💬 なぜ今、見直すの?

高齢者の就労率は年々上昇しており、65~69歳の就業率はすでに50%超え
それにもかかわらず、制度上は働きすぎると年金が減る…という矛盾が存在していました。

⇒ 今回の見直しは、「年金か働くか」ではなく、「働いても年金を受け取れる」環境づくりの一環です。

 

✅企業が検討すべき対応

沖縄でも高齢従業員の活躍をどう位置付けるか、これからの人事戦略に関わってきます。

  • 人手不足を補う戦力として「60代の人材活用」を検討するチャンス

  • 就業規則・賃金制度に年齢対応の柔軟な設計が必要になるかも

  • 年金と給与のバランスを考慮したライフプラン支援制度の整備もおすすめ

✍ 最後に|顧問先への対応もお任せください

つばさ社会保険労務士事務所では、
今回の改正を受けた高齢者雇用や年金制度への対応に関するご相談も承っております。

 

「この人、もうすぐ65歳だけど年金はどうなる?」
「どれくらい働いてもらうのが本人にとっても会社にとっても良いの?」
そんなお悩みに、社労士が丁寧にお答えします。

 

※5月17日時点。今後の国会審議において修正される可能性があります。


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

▶コラム: 私が社労士になった理由