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労働基準法が変わる!?2026年以降の人事労務管理で知っておくべき5つのポイント

こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。

 

今回は労働基準関係法制研究会から発表された報告書を基に、沖縄の経営者・人事担当者の皆様に向けて、これからの労働基準法の方向性と実務への影響をわかりやすく解説します。

▲労働基準関係法制研究会報告書(厚生労働省)

🔍 なぜ今、労働基準法の見直しが必要なのか

戦後から続く労働基準法は、時代の変化に対応するため大きな転換点を迎えています。少子高齢化、デジタル技術の発展、テレワークの普及など、1947年の制定時には想定されていなかった働き方が当たり前になってきました。

特に沖縄では、観光業をはじめとするサービス業や、IT企業の誘致により多様な働き方が広がっています。これらの変化に対応するため、労働基準法も「守る」と「支える」の両立を目指した改革の話し合いが進められています。

 

👥 変わる「労働者」の定義 - プラットフォームワーカーへの対応

現在の課題 従来の労働者の判断基準は1985年に策定されたもので、約40年が経過しています。ウーバーイーツの配達員やクラウドワーカーなど、新しい働き方に対応しきれていないのが現状です。

今後の方向性

  • 労働者性の判断基準の見直し検討
  • プラットフォームワーカーの保護拡充
  • 実態重視の判断基準の明確化

沖縄でも宅配サービスやオンライン観光ガイドなど、プラットフォームを活用した働き方が増えています。これらの方々の労働条件や安全確保についても、今後注目していく必要があります。

 

🏢 「事業場」概念の見直し - テレワーク時代への対応

現在の限界 労働基準法は「事業場」単位で適用されますが、テレワークの普及により場所にとらわれない働き方が一般化しています。

実務への影響

  • 複数事業場での一括労使協定手続きの検討
  • テレワーク勤務者の労働時間管理の明確化
  • 事業場を超えた労働条件の統一化

沖縄の企業でも、本土の顧客とオンラインで働く形態や、テレワークなど、従来の事業場概念では対応が困難なケースが増えています。

 

🤝 労使コミュニケーションの改善 - 過半数代表制度の課題解決

現状の問題点 労働組合の組織率は16.3%にとどまり、多くの事業場で過半数代表者の選出や役割遂行に課題があります。

改善の方向性

  • 過半数代表者の選出手続きの適正化
  • 労働者への情報提供と意見集約機能の強化
  • 行政機関による相談支援体制の充実
  • 複数人選出や任期設定の選択肢明確化

特に中小企業が多い沖縄では、適切な労使コミュニケーションの確保が企業の持続的発展には不可欠です。

 

⏰ 労働時間規制の新展開 - より実効性のある制度へ

注目すべき検討事項

1. 勤務間インターバル制度の義務化検討 現在は努力義務ですが、11時間のインターバル確保の義務化が議論されています。従業員の健康確保と生産性向上の両立が期待されます。

2. 連続勤務日数の上限規制 理論上48連勤も可能な現行制度から、「13日を超える連続勤務禁止」の規制導入が検討されています。

3. テレワーク対応のフレックスタイム制改善 テレワーク日と通常勤務日が混在する場合に活用しやすい制度への改善が予定されています。

 

💡 沖縄の企業が今から準備すべきこと

  1. 労使協定の見直し準備
    • 36協定の内容確認と適正化
    • 過半数代表者の選出手続きの整備
  2. テレワーク制度の整備
    • 労働時間管理方法の明確化
    • 就業規則の見直し
  3. 従業員の健康確保対策
    • 勤務間インターバルの導入検討
    • 長時間労働防止策の強化

🚀 まとめ:変化を機会に変える

労働基準法の見直しは、単なる規制強化ではありません。従業員の健康と働きがいを確保しながら、企業の競争力向上を実現する「守る」と「支える」の両立を目指しています。

 

沖縄の豊かな自然環境と温かい人間関係を活かしながら、新しい時代の働き方を創造していきましょう。


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

▶コラム: 私が社労士になった理由