はじめに ✨
沖縄県の建設業経営者の皆様、労働保険の年度更新手続きはお済みでしょうか?建設業特有の一括有期事業申告は、通常の事業とは異なる複雑な手続きが必要です。適切な申告を行わないと、思わぬペナルティを受ける可能性もあります。
今回は、令和7年度の労働保険年度更新について、建設業の一括有期事業申告を中心に、実務で役立つポイントを詳しく解説いたします。
▲令和7年度労働保険年度更新申告書の書き方(一括有期事業(建設の事業)用編)
労働保険年度更新とは 📋
労働保険の年度更新とは、前年度(令和6年度)に支払った賃金総額を基に保険料を確定させ、当年度(令和7年度)の概算保険料を申告・納付する重要な手続きです。
主な対象者
- 労働者を雇用している全ての事業主
- 建設業は一括有期事業として特別な取扱い
申告・納付期限
- 令和7年7月10日まで
- 期限を過ぎると延滞金が発生(年率8.7%)
建設業特有の一括有期事業申告 🔧
Step 1: 一括有期事業報告書の作成
令和6年度中に終了した元請工事を一工事ごとに記載します。
重要なポイント
- 事業の種類(建築事業、既設建築物設備工事業など)
- 事業開始時期による区分
- 請負金額(消費税を除く)
- 賃金総額
Step 2: 一括有期事業総括表の作成
報告書から事業の種類・開始時期ごとに請負金額を転記し、労務費率を乗じて賃金総額を算出します。
計算の流れ
- 請負金額 × 労務費率 = 賃金総額
- 賃金総額 × 労災保険率 = 保険料額
- 全業種の保険料額を合計
Step 3: 申告書への記入
総括表で計算した数値を申告書に転記し、確定保険料と一般拠出金を計算します。
保険料算定の重要ポイント 💡
賃金による算定 or 請負金額による算定
賃金による算定
- 支払賃金を正確に把握できる場合
- 協力業者含むすべての労働者の賃金
- 通勤手当や賞与も算入対象
請負金額による算定
- 賃金総額を正確に把握できない場合
- 請負金額 × 労務費率 = 賃金総額
- 消費税は除いて計算
メリット制適用事業場の注意点
前年度にメリット制が適用されている場合は、労災保険率決定通知書に記載されたメリット料率を使用して計算する必要があります。
申告時の注意点 ⚠️
記入時の基本ルール
- 黒ボールペンを使用
- 標準字体に従って丁寧に記入
- 枠からはみ出さないよう注意
- 訂正は原則不可(新しい用紙を使用)
よくある間違い
-
事業開始時期の区分誤り
- 平成30年4月1日を境に保険料率が変更
- 正確な区分が重要
-
消費税の取扱い
- 平成27年4月1日以降開始工事は消費税を除く
- それ以前開始工事は消費税を含む
-
一般拠出金の対象
- 平成19年4月1日以降開始工事のみ対象
- 0.02/1000の料率で計算
提出・納付の方法 📝
提出書類
- 申告書(1枚目提出用)
- 一括有期事業報告書(建設の事業)
- 一括有期事業総括表(建設の事業)
提出方法
- 来庁による提出:管轄労働局・労働基準監督署
- 郵送による提出:管轄労働局あて
- 電子申請:e-Govを利用
納付方法
- 口座振替(推奨)
- 金融機関窓口
- 電子納付
延納制度の活用 📅
確定保険料が20万円以上の場合、3回に分けて納付可能です。
納付スケジュール
- 第1期:7月10日
- 第2期:10月31日
- 第3期:翌年2月2日
まとめ 🎯
建設業の年度更新は複雑な手続きですが、正確な申告により適正な保険料負担と労働者の安全確保につながります。
成功のポイント
- 工事完了時点での記録整備
- 事業開始時期の正確な把握
- メリット制適用の確認
- 期限内の確実な提出・納付
つばさ社会保険労務士事務所へのご相談 📞
労働保険の年度更新手続きでお困りの経営者・人事担当者の皆様、つばさ社会保険労務士事務所では特化した労務サポートを提供しております。
主なサービス
- 年度更新手続きの代行
- 労災保険率の最適化支援
- 就業規則の整備
- 労使トラブルの予防・解決
お客様の労務管理を全面的にサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
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