こんにちは!つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
6,7月は社会保険関係では忙しい時期ですね。今年も「算定基礎届」の提出期限(7月1日~7月10日)が迫ってきました。沖縄の中小企業の経営者・人事担当者の皆さまから、毎年多くのご質問をいただく算定基礎届について、今回は特に間違いやすいケースに焦点を当てて解説いたします。
▲算定基礎届の記入・提出ガイドブック(日本年金機構)
📋 算定基礎届とは?まずは基本から
算定基礎届は、健康保険と厚生年金保険の標準報酬月額を決定するための重要な手続きです。この手続きにより決定された標準報酬月額は、保険料の計算だけでなく、将来の年金額算定の基礎にもなります。
提出期間:令和7年7月1日(火)~7月10日(木) 対象期間:4月・5月・6月の3ヶ月間の報酬
⚠️ 【重要】提出前の最終確認ポイント
前回お伝えした基本を踏まえ、実務相談で特に多くご質問をいただく3つのパターンを詳しく見ていきましょう。これらを理解することで、修正依頼や再提出を避けることができます。
🎯 間違いやすい2つのケースと正しい対処法
❌ ケース① 支払基礎日数17日未満の月を含めて計算してしまう
これが最も多いご相談内容です!
多くの事業所で「3ヶ月分を足して3で割る」と覚えているため、17日未満の月も含めて計算してしまいがちです。
❌ 間違った計算例
- 4月分報酬:271,000円(支払基礎日数:31日)
- 5月分報酬:124,000円(支払基礎日数:10日)← 17日未満なのに含めている
- 6月分報酬:264,000円(支払基礎日数:31日)
間違った計算:(271,000円 + 124,000円 + 264,000円)÷ 3 = 219,667円
✅ 正しい計算方法 17日未満の月は除外して計算!
報酬月額 = (271,000円 + 264,000円)÷ 2 = 267,500円
💡 実務チェックポイント: 欠勤が多い月、病欠の月、途中入退社があった月は要注意


❌ ケース② 途中入社者の給与を満額で計算してしまう
1ヶ月分の給与が支給されていない月は除外が原則!
途中入社の方について、支払基礎日数が17日以上あるからといって、その月を算定に含めてしまうケースが頻発しています。
❌ 間違いパターン 4月10日入社で4月分給与が日割計算(20日分)でも、「支払基礎日数20日で17日以上だから対象」と判断
✅ 正しい考え方 給与支払対象期間の途中から入社により、1ヶ月分の給与が支給されない月は除外
具体例(4月1日入社、給与20日締・翌月10日支払)
- 4月分:給与なし(4月分は5月10日支払い対象外)← 除外
- 5月分:148,000円(支払基礎日数:20日)✅
- 6月分:200,000円(支払基礎日数:30日)✅
報酬月額 = 200,000円(6月分のみ)
💡 重要ポイント: 給与計算期間の違いにより、入社月の扱いが変わります。必ず給与規程を確認してください。
📝 記入時の注意: 備考欄の「4.途中入社」に○を付け、「9.その他」欄に入社年月日を記載

🚨 提出前の最終チェックリスト
これらのミスを防ぐため、提出前に以下をご確認ください:
✅ 計算確認チェック
- 17日未満の月を除外して計算しているか
- パートタイマーの区分(短時間就労者/短時間労働者)は正しいか
- 途中入社者で1ヶ月分の給与が出ていない月を除外しているか
- 基本給以外の手当(通勤手当、住宅手当等)も含めているか
✅ 記入確認チェック
- 備考欄の○印は適切に付いているか
- 「9.その他」欄の記載事項に漏れはないか
- 支払基礎日数は正確に記載されているか
💼 実務で起こりがちなトラブル事例
事例1:修正依頼が来てしまった 「5月分も含めて計算し直してください」→ 17日未満を含めて計算していた
事例2:保険料が想定と違う 「パートさんの保険料が高すぎる」→ 短時間労働者の基準を間違えていた
事例3:年金事務所から照会が来た 「途中入社者の算定根拠を教えてください」→ 給与支給実態と合わない計算をしていた
💬 迷ったときの判断基準
実務で判断に迷った際の考え方をお伝えします:
🤔 「この月は算定に入れるべき?」と迷ったら
- 支払基礎日数は基準を満たしているか?
- その月の給与は通常の月額と同程度か?
- 特殊な事情(途中入社、休職等)はないか?
🤔 「記入方法が分からない」と迷ったら
- まず日本年金機構のガイドブックを確認
- それでも不明な場合は専門家に相談
📞 お気軽にご相談ください
つばさ社会保険労務士事務所では、算定基礎届の作成代行から日常の労務相談まで、沖縄の中小企業の皆さまを全力でサポートしております。お困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお声かけください。
▶ 初回相談無料・訪問対応可能
▶ 労務顧問契約で継続的なサポートも承ります
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由