
こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
沖縄県内の経営者・人事担当者の皆様から「採用面接でどこまで質問していいかわからない」「気づかないうちに違法な質問をしていないか不安」といったご相談を数多く頂戴しています。
2025年も引き続き、就職差別につながる14項目への対応は企業の重要課題です。今回は、最新の動向を踏まえながら、中小企業が実践すべき具体的な対策をお伝えします。
🚫 就職差別14項目とは?基本を再確認
就職差別につながるとされる14項目は、以下の通りです:
- 戸籍(抄)本提出
- 社用紙(企業独自のもの)の使用
- 身元(家庭)調査
- 家族の職業、続柄、健康
- 家族の地位、学歴、収入
- 家族の資産
- 住居状況(部屋数、間取りなど)
- 宗教
- 支持政党
- 生活信条
- 尊敬する人物
- 思想
- 本籍、生まれ育った場所
- 生活環境に関する作文(生い立ち、私の家庭、父・母を語るなど)
これらの項目について質問したり、応募書類で求めたりすることは、基本的人権を侵害する可能性があり、結果的に就職差別につながるおそれがあります。
⚠️ うっかりやりがちな違反例
面接での質問例
- 「ご家族はどんなお仕事をされていますか?」
- 「出身はどちらですか?」
- 「どんな宗教を信仰していますか?」
- 「尊敬する人物を教えてください」
応募書類での要求例
- 戸籍謄本の提出を求める
- 家族構成や職業を記載させる履歴書の使用
- 「私の家庭」などのテーマで作文を求める
✅ 中小企業が今すぐできる対策
1. 面接質問の見直し
適切な質問例:
- 「この仕事に対してどのような意欲をお持ちですか?」
- 「前職での経験をどう活かしたいとお考えですか?」
- 「当社で実現したい目標はありますか?」
業務に関連する質問に絞ることが重要です。
2. 応募書類の統一
- 厚生労働省推奨の履歴書様式を使用
- 企業独自の応募用紙は避ける
- 必要以上の個人情報を求めない
3. 面接官の教育
面接を担当する社員全員に対して、以下の教育を実施しましょう:
- 14項目の具体的内容の理解
- 適切な質問方法の習得
- 無意識のバイアスへの気づき
🎯 公正採用選考人権啓発推進員の設置
厚生労働省では、各事業所に公正採用選考人権啓発推進員の設置を推奨しています。
推進員の役割
- 公正な採用選考の実施
- 従業員への啓発活動
- 採用担当者への指導・助言
設置のメリット:
- 組織全体の意識向上
- トラブル予防
- 企業イメージの向上
📞 違反した場合のリスク
就職差別に該当する行為を行った場合:
- 行政指導の対象となる可能性
- 企業イメージの著しい悪化
- 優秀な人材の確保が困難になるリスク
- 労働局からの改善指導
特に沖縄県内では、地域コミュニティが密接につながっているため、評判の悪化は事業運営に大きな影響を及ぼします。
💡 まとめ:持続可能な採用体制の構築を
公正な採用選考は、法令遵守という観点だけでなく、多様な人材の獲得や企業価値の向上にもつながります。
今回ご紹介した対策を参考に、ぜひ貴社の採用プロセスを見直してみてください。一見面倒に思える取り組みも、長期的には必ず企業の成長につながります。
🤝 お困りのことがございましたら
つばさ社会保険労務士事務所では、採用制度の設計から面接官研修まで、公正な採用選考の実現を総合的にサポートしています。
「現在の採用プロセスに不安がある」「面接官向けの研修を実施したい」といったご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由