こんにちは。つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
先日公表された「令和7年版高齢社会白書」では、我が国の高齢化率が29.3%に達し、2070年には2.6人に1人が65歳以上という衝撃的なデータが示されました。
沖縄県内の経営者・人事担当者の皆様にとって、この現実は「遠い将来の話」ではありません。今、まさに労働力確保と組織運営の在り方を根本から見直すタイミングなのです。
🔍 注目すべき3つの変化
1. 高齢者の就業意欲が高まっている
白書によると、65歳以上の就業者数は21年連続で増加しており、就業率も過去最高水準を記録しています。特に注目すべきは:
- 65~69歳の就業率:53.6%(10年前比13.5ポイント上昇)
- 70~74歳の就業率:35.1%(10年前比11.1ポイント上昇)
- 75歳以上の就業率:12.0%(10年前比3.9ポイント上昇)
2. 働く理由の多様化
従来の「収入のため」(55.1%)に加え、「働くのは体によいから、老化を防ぐから」(20.1%)、「自分の知識・能力を生かせるから」(12.4%)など、健康維持や自己実現を重視する傾向が強まっています。
3. 就業継続への強い意欲
「働けるうちはいつまでも」と回答した割合が22.4%に達し、前回調査(20.6%)から上昇。75歳以上まで働きたいという回答も41.4%に増加しています。
💼 企業が取り組むべき5つの戦略
1. 柔軟な働き方制度の整備
高齢者が仕事を選ぶ際に重視するのは:
- 自分の経験やスキルが生かせること(41.5%)
- 自宅から通いやすいこと(33.7%)
- 仕事にやりがいがあること(24.8%)
テレワーク制度や短時間勤務、フレックスタイム制の導入で、高齢者にとって魅力的な職場環境を構築しましょう。
2. 体力的負担への配慮
年代が高くなるほど「体力的な負担が少ないこと」を重視する傾向があります。作業環境の改善や業務の分担見直しにより、無理なく働ける環境を整備することが重要です。
3. 経験・スキルを活かせる役割設計
単純な労働力としてではなく、豊富な経験と専門知識を活かせるポジションを用意することで、高齢者のモチベーション向上と企業の競争力強化の両立を図れます。
4. 健康管理サポートの充実
就業理由として「健康維持」を挙げる方が多いことから、産業医との連携強化や健康管理プログラムの導入により、従業員の健康をサポートする仕組みを構築しましょう。
5. 段階的な雇用形態の提案
「65歳くらいまで」から「働けるうちはいつまでも」まで、個人の希望に応じた柔軟な雇用継続プランを用意することで、優秀な人材の長期定着を実現できます。
⚠️ 見逃せないリスクと対策
高齢者雇用を進める際は、以下のリスクにも注意が必要です:
- 認知機能低下への備え:財産管理サポートや意思決定支援体制の整備
- 健康状態の変化:段階的な業務調整や復職支援制度の構築
- 世代間コミュニケーション:多様な価値観を受け入れる組織風土の醸成
🌺 沖縄県内企業の皆様へ
観光業をはじめとする沖縄県内の多くの産業で、人手不足が深刻化しています。高齢者の豊富な経験と高い就業意欲を活かすことで、この課題を「チャンス」に変えることができます。
ただし、高齢者雇用には労働法令の正確な理解と適切な制度設計が不可欠です。就業規則の整備、労働条件の設定、安全衛生管理など、専門的な知識が求められる分野も多くあります。
📞 まずはお気軽にご相談ください
つばさ社会保険労務士事務所では、高齢者雇用に関する制度設計から運用まで、トータルでサポートいたします。
- 就業規則の作成・改定
- 労働条件の適正化
- 安全衛生管理体制の構築
- 助成金活用のアドバイス
変化する労働環境に対応し、持続可能な組織づくりを実現しませんか?
ご相談は無料で承っております。沖縄県内の企業様の発展と従業員の皆様の幸せな働き方の実現に向けて、ぜひ一度お話を聞かせてください。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由