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障害年金 昨年度の不支給が前年対比1.5倍 厚労省が点検を実施

皆さま、こんにちは。つばさ社会保険労務士事務所の玉城 翼です。

「障害年金の申請を考えているけれど、最近厳しくなったと聞いて不安...」 「申請したけれど不支給になってしまった...」

そんなお悩みをお持ちの方に、ぜひ知っていただきたい重要な情報があります。

 

6月11日に厚生労働省が公表した最新の調査報告書から、障害年金の認定状況が大きく変化していることが明らかになりました。さらに、厚労省は現在の判定の仕組みを是正する方針を明らかにし、2024年度以降の精神障害等の不支給事案を原則全て点検することを発表しました。

🚨 障害年金認定の現実:不支給率が大幅上昇

令和6年度の厳しい現実と国の是正方針

厚生労働省の調査により、障害年金の不支給率が13.0%まで上昇したことが判明しました。これは令和5年度の8.4%から約1.5倍の大幅な増加で、申請者の8人に1人以上が不支給となっている計算です。

この深刻な状況を受け、厚生労働省は現在の判定の仕組みを是正する方針を明らかにし、より客観的で公平な判定にする必要があると判断しました。

特に深刻なのは以下の数字です:

  • 精神障害:12.1%(前年度6.4%から約1.9倍に増加
  • 外部障害:10.8%(前年度10.2%から微増)
  • 内部障害:20.6%(前年度19.4%から増加)

さらに重要なのは、年金機構が不支給事案約1,200件の判定をやり直した結果、1割が支給に変更されたという事実です。これは、本来受給できるはずの方が不適切に不支給とされていたケースが相当数存在することを示しています。

🧠 精神障害の方は特に注意が必要

最も大きな変化は精神障害の分野です。調査では、精神障害で不支給となった方の**75.3%が「本来受給できるはずの等級より低く判定されて不支給」**となっていることが分かりました。

これは前年度の44.7%から大幅な増加で、精神障害の認定基準が特に厳格化されていることを示しています。

 

🌟 厚生労働省の具体的な是正方針

今回の調査結果を受け、厚生労働省は以下の対策を打ち出しました:

1. 過去の不支給事案の全面的な見直し

2024年度以降の精神障害等の不支給事案を原則全て点検し、必要に応じて支給決定を行います。

2. 判定システムの抜本的改善

  • より客観的かつ公平な認定に向けた改善
  • 複数の認定医による審査の拡大
  • 事前確認票等の運用改善

3. 不適切な認定の是正

年金機構による再審査では約1割が支給に変更されており、同様の見直しが今後も行われる予定です。

この是正措置により:

  • 過去に不支給とされた方:再度審査される可能性
  • 現在申請中の方:より適切な審査が期待できる
  • これから申請する方:公平な審査環境での申請が可能

🔄 不支給決定を受けた場合の対応

2024年度以降に不支給とされた方へ

朗報があります! 厚生労働省の方針により、2024年度以降の精神障害等の不支給事案は原則全て点検されることになりました。

自動的な見直し対象

以下に該当する方は、国による見直しの対象となる可能性があります:

  • 2024年4月以降に精神障害で不支給とされた方
  • 発達障害・知的障害で不支給とされた方
  • その他の障害認定基準上の「その他の疾患による障害」で不支給とされた方

積極的にできること

見直しを待つだけでなく、以下の行動も検討してください:

審査請求の提出

  • 3ヶ月以内の審査請求が可能
  • 新たな証拠の提出ができる
  • 費用負担なし(印紙代等は不要)
  • 国の見直しと並行して進めることが可能

審査請求のメリット

  • 新たな証拠の提出が可能
  • 専門家による再評価
  • 費用負担なし(印紙代等は不要)

審査請求で重要なポイント

  • 不支給理由の分析:なぜ認められなかったかを明確に
  • 追加証拠の収集:カルテ、日常生活記録、第三者証言
  • 専門家サポート:社会保険労務士との連携

🤝 専門家サポートの重要性

社会保険労務士に依頼するメリット

書類作成の専門性

  • 認定基準を熟知した書類作成
  • 医師との効果的な連携
  • 審査官の視点を踏まえた申立書作成

手続きの確実性

  • 提出漏れや不備の防止
  • 期限管理の徹底
  • 審査請求時の迅速対応

精神的なサポート

  • 不安な気持ちに寄り添う相談
  • 進捗状況の適切な説明
  • 結果に関わらず継続的なサポート

🌟 まとめ

障害年金の認定基準厳格化は確かに厳しい現実でしたが、厚生労働省の是正措置により状況は大きく改善に向かっています

重要なポイント:

  • 国が問題を認識し、具体的な是正措置を実施
  • 過去の不支給事案の見直しにより救済の可能性
  • 今後はより客観的で公平な審査が期待できる
  • 適切な準備と専門家サポートで受給可能性はさらに向上

2024年度以降に不支給とされた方は、国による見直しの対象となる可能性があります。また、これから申請される方は、改善された審査環境での申請が可能です。

 

あなたの症状や生活への影響が適切に評価されるよう、私たちがしっかりとサポートいたします。


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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