こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
令和8年から段階的に施行される年金制度改正について、沖縄の中小企業経営者・人事担当者の皆様にとって特に重要なポイントを分かりやすく解説いたします。今回の改正は、従業員の働きやすさと企業の人材確保の両面で大きな影響をもたらします。
📊 被用者保険の適用拡大:「106万円の壁」が段階的に撤廃へ
🔍 現在の制度と問題点
現在、パートタイム労働者が社会保険に加入するためには以下の要件をすべて満たす必要があります:
- 週20時間以上の勤務
- 月額88,000円以上の賃金(年収106万円相当)
- 51人以上の企業
- 学生以外
この「年収106万円の壁」により、多くの従業員が就業調整を行い、企業側も必要な人材を十分に活用できない状況が続いています。
✨ 改正後の変化
1️⃣ 賃金要件の撤廃
施行時期: 公布から3年以内(2027年頃予定)
全国の最低賃金が時給1,016円を上回った時点で、月額88,000円の賃金要件が撤廃されます。つまり、週20時間以上働けば、勤務先や賃金額に関係なく社会保険に加入できるようになります。
2️⃣ 企業規模要件の段階的撤廃
企業規模 | 施行時期 |
---|---|
36人以上の企業 | 2027年10月 |
21人以上の企業 | 2029年10月 |
11人以上の企業 | 2032年10月 |
10人以下の企業 | 2035年10月 |
🎯 沖縄の中小企業への影響
メリット:
- 従業員の年金額増加により、人材確保・定着率向上
- 就業調整の減少で、より柔軟な労働力活用が可能
- 従業員満足度の向上
注意点:
- 社会保険料負担の増加
- 労務管理の複雑化
💰 支援策も充実
政府は中小企業への配慮として、以下の支援策を用意しています:
- 保険料負担軽減措置:3年間、従業員の保険料負担を最大75%まで軽減可能
- キャリアアップ助成金:労働時間延長や賃上げを行った企業への助成(最大75万円/人)
⚖️ 在職老齢年金制度の見直し:高齢者がより働きやすく
📈 支給停止基準額の引き上げ
改正内容: 50万円 → 62万円(2024年度価格) 施行時期: 2026年4月
この見直しにより、約20万人が新たに厚生年金を全額受給可能となります。
🌴 沖縄の観光・サービス業への効果
沖縄の主要産業である観光・サービス業では、経験豊富な高齢者の活用が重要です。今回の改正により:
- 年金減額を気にせず、より多く働ける環境が整備
- 技能継承やサービス品質向上に経験豊富な人材を活用可能
- 人手不足解消への貢献
📅 企業が今すべき準備
🎯 短期的な対応(2025年中)
- 現在の従業員の労働時間・賃金状況の把握
- 社会保険料増加分の予算計画策定
- 就業規則の見直し検討
- 従業員への制度説明と不安解消
🎯 中長期的な対応(2026年以降)
- 人事制度全体の見直し
- 高齢者雇用の積極的活用検討
- デジタル化による労務管理効率化
- 従業員のキャリア開発支援強化
💡 成功のポイント
✅ 従業員とのコミュニケーション
制度改正による変化を従業員に丁寧に説明し、不安を解消することが重要です。特に:
- 社会保険加入によるメリット(将来の年金増額、傷病手当金等)の説明
- 手取り減少への配慮策の検討
- キャリアアップ支援の充実
✅ 労務管理体制の整備
- 勤怠管理システムの見直し
- 社会保険手続きの効率化
- 専門家との連携強化
📞 まとめ:変化をチャンスに変える
今回の年金制度改正は、確かに企業にとって新たな負担を伴いますが、同時に人材確保と組織力強化の大きなチャンスでもあります。
特に沖縄の中小企業においては:
✨ 優秀な人材の確保・定着 ✨ 従業員満足度の向上 ✨ 地域経済の活性化への貢献
これらの効果が期待できます。
変化に適応し、むしろそれを競争優位性に変えていくために、早めの準備と戦略的な取り組みが重要です。
🤝 専門家のサポートをお求めの際は
つばさ社会保険労務士事務所では、年金制度改正への対応から人事制度全般まで、沖縄の中小企業の皆様を総合的にサポートいたします。
📞 お気軽にご相談ください
- 制度改正の詳細解説
- 自社への影響度診断
- 対応策の具体的ご提案
- 就業規則改定支援
- 従業員説明会の実施
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由
コメントをお書きください