
沖縄県内の中小企業の経営者・人事担当者の皆さま、こんにちは。つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
近年、パワーハラスメント防止に関する法整備が進み、企業の責任がより明確になっています。特に管理監督者の皆さまには、職場環境の改善と従業員の安全配慮において重要な役割が求められています。
今回は、最新の判例を踏まえながら、実際に職場で起こりうるパワハラの防止策と、万が一発生した場合の適切な対応方法について解説いたします。
💡 パワハラ防止で管理監督者が押さえるべきポイント
部下への「ねぎらい」と「承認」の重要性
管理監督者の皆さまは、部下に対して経済的な報酬(給与)を直接与えることはできませんが、日頃のねぎらいや承認の言葉を積極的にかけることで、職場のモチベーション向上と健全な関係構築が可能です。
具体的には:
- 部下の努力をこまめに評価し、ねぎらいの言葉をかける
- 成長や改善点を積極的にほめる
- 将来への明るい展望を共有する
効果的な指示の出し方
指示を出す際は、以下の点を心がけましょう:
- 事前に仕事の方向性を明確に示す
- 完成イメージを具体的に伝える
- 業務の目標とリンクさせて指示の意義を説明する
- 部下が抱える問題を把握し、フォローアップする
管理監督者自身の指示の与え方や内容に問題がないかを定期的に省みることも大切です。
⚠️ パワハラが発生した場合の対応フロー
被害者への対応
パワハラの申告があった場合、まず重要なのは被害者との信頼関係構築です。
基本的な対応姿勢
- 被害者の話を丁寧に傾聴する
- 話の腰を折らない
- 私見を述べない、断定しない
- 反論や否定をしない
被害者側に問題行動があったとしても、自らを省みるよう指導することよりも、まずは話を聴くことを優先し、指導はタイミングを見極めて行うべきです。
調査のプロセス
- 迅速かつ正確な事実関係の確認
- 関係者からのヒアリング実施
- 証拠の確保(手帳、電子メール等)
- 調査結果の報告と適切な措置の実施
加害者への対応
加害者に対するヒアリングでは、事実を否認したり、自己を正当化したりすることがあることを想定しておきましょう。
効果的な説諭のポイント
- 早期に事実を認めて調査に協力し、反省・謝罪を示せば処分の軽減可能性があることを伝える
- 合理的理由なく否認や反省の意を示さない場合は処分が加重される可能性を説明する
- 虚偽の供述自体が懲戒事由となることを明確にする
📋 企業として整備すべき体制
法的な義務への対応
労働施策総合推進法に基づく雇用管理上の措置として、以下が必要です:
- パワハラ防止の方針周知
- 相談窓口の設置
- 再発防止研修の実施
- 事後対応の体制整備
就業規則の整備
加害者が証拠提出を含めた調査協力義務を負うことを就業規則に明記し、労働契約上の義務として位置づけることが重要です。
迅速な対応の重要性
パワハラの申告があった場合、迅速に調査開始の通知をすることで、被害感情を和らげ、二次クレームを防止することができます。
🎯 まとめ:持続可能な職場づくりのために
パワハラ防止は、単なる法的義務の履行にとどまらず、従業員のウェルビーイング向上と組織の持続的成長のための重要な取り組みです。
特に沖縄県内の中小企業では、限られた人材を大切に育成し、長期的に活躍してもらうことが競争力の源泉となります。管理監督者の皆さまには、部下との信頼関係を築き、心理的安全性の高い職場環境を作っていただくことが期待されています。
形式的な体制整備だけでなく、日常のコミュニケーションから意識を変え、全社一丸となって取り組むことで、真の意味でのパワハラ防止が実現できるでしょう。
📞 お困りのことがございましたら
パワハラ防止体制の構築や就業規則の整備、管理監督者研修の実施など、労務管理でお悩みのことがございましたら、ぜひ「つばさ社会保険労務士事務所」までお気軽にご相談ください。
沖縄県内の中小企業の実情を踏まえた、実践的なソリューションをご提供いたします。法令遵守と従業員のウェルビーイングを両立した、持続可能な組織づくりを全力でサポートいたします。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由