· 

研修・教育訓練は労働時間?沖縄の中小企業が知っておくべき判断基準

こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。

沖縄県内の中小企業の経営者・人事担当者の皆さまから、「社内研修や教育訓練の時間は労働時間になるのか?」というご相談を頻繁にいただきます。この疑問は、働き方改革による時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されるようになった今、特に重要な問題となっています。

 

📋 労働時間の基本的な考え方

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを指します。つまり、会社からの明示的または暗黙の指示により、従業員が業務に従事する時間が労働時間に該当するのです。

この原則を研修・教育訓練に当てはめると、単に「研修だから労働時間ではない」とは言えません。その研修が本当に自由参加なのか、それとも事実上の強制参加なのかが判断のポイントになります。

 

✅ 労働時間に該当「しない」研修の具体例

厚生労働省の指針によると、以下のような研修は労働時間に該当しません:

🌙 完全任意の夜間勉強会

  • 終業後に実施
  • 参加の強制がない
  • 不参加による不利益取扱いがない
  • 弁当提供などの配慮はあってもOK

🏋️ 自主的なスキルアップ訓練

  • 従業員が自ら申し出て実施
  • 会社設備の無償使用許可を得ている
  • 上司からの指揮命令を受けない
  • 勤務時間外に実施

🗣️ 業務無関係の教養講座

  • 英会話など業務と関連性がない内容
  • 任意参加
  • 外部講師による実施

❌ 労働時間に該当「する」研修の具体例

一方、以下のような研修は労働時間に該当します:

📝 実質的な業務指示による研修

  • 休日参加を指示
  • 後日レポート提出を課す
  • 使用者指定の社外研修

👀 業務に必要な見学・OJT

  • 実際の業務に就くために必要
  • 先輩社員の業務を見学する必要がある
  • 事前に見学しなければ業務ができない

🔍 判断のポイント:グレーゾーンの見極め方

研修が労働時間に該当するかどうかの判断で迷った場合は、以下の観点から検討してください:

参加の自由度

  • 本当に自由参加か?
  • 不参加による人事評価への影響はないか?
  • 就業規則で減給処分の対象になっていないか?

業務との関連性

  • 担当業務に直接関係する内容か?
  • 研修を受けないと業務遂行に支障があるか?
  • 会社の利益に直結する内容か?

実施形態

  • 勤務時間内・外のどちらで実施するか?
  • 参加者への指示・命令の有無
  • 成果物(レポート等)の提出義務

💡 沖縄の中小企業における実務上の留意点

沖縄県内の中小企業では、アットホームな社風から「みんなで参加しよう」という雰囲気になりがちです。しかし、労働時間管理の観点では注意が必要です。

書面による明確化

研修の取扱いについて、労使間で事前に話し合い、以下を書面で明確にしておくことをお勧めします:

  • 研修の目的と内容
  • 参加の任意性
  • 労働時間該当性の判断
  • 実施場所・時間・服装等の取り決め

労働時間管理システムの整備

研修時間の記録・管理方法についても、通常の労働時間管理と同様に適切に行う必要があります。

 

🎯 まとめ:適切な研修運営のために

研修・教育訓練は従業員のスキルアップや会社の発展に欠かせない重要な取り組みです。しかし、労働時間管理を適切に行わないと、思わぬ労使トラブルや法令違反につながる可能性があります。

「研修だから労働時間ではない」という思い込みを捨て、個別の状況に応じて適切に判断することが大切です。判断に迷った場合は、専門家にご相談いただくことをお勧めします。


🤝 労務管理でお困りの際は、お気軽にご相談ください

つばさ社会保険労務士事務所では、沖縄県内の中小企業の皆さまの労務管理をトータルサポートしています。研修・教育訓練の労働時間管理から、働き方改革への対応まで、実務経験豊富な社会保険労務士・キャリアコンサルタントが丁寧にサポートいたします。

 

初回相談は無料で承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。沖縄の企業の皆さまが安心して事業運営できるよう、全力でサポートいたします。


このコラムを書いている人

玉城翼の写真

玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

▶コラム: 私が社労士になった理由