· 

沖縄の建設業界必見!熱中症対策の作業中断時間は労働時間?厚労省Q&Aを徹底解説

こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。

沖縄の建設業経営者・人事担当者の皆様にとって、夏場の熱中症対策は極めて重要な課題ですよね。今回は、厚生労働省が2025年6月19日に公表した「建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A」追16について、実務的観点から詳しく解説いたします。

 

🌡️ 追16:熱中症対策の作業中断時間と労働時間の関係

質問内容

「熱中症対策のために、作業を中断する時間があるが、その時間は労働時間に当たるか?」

 

📋 厚労省の基本的な考え方

労働時間の定義

厚生労働省は、労働基準法における労働時間を「使用者の指揮命令下にある時間」と明確に定義しています。待機時間については、以下の判断基準が示されています:

手待時間として労働時間に該当する場合

  • 使用者の指示があれば即時に業務に従事することが求められている
  • 労働から離れることが保障されていない状態での待機

⏰ 具体的な判断基準と実務対応

労働時間に該当するケース

12:00~15:00の作業中断を例にした場合

以下の条件が揃う場合は労働時間に該当します:

  • 天候変化によるWBGT値の低下があれば直ちに作業再開を指示される
  • 労働者が現場で待機を命じられている
  • 自由な時間の利用が保障されていない

労働時間に該当しないケース

以下の条件が揃う場合は休憩時間として扱える可能性があります:

  • 昼休みなどの休憩時間と同等程度に労働者が自由に利用できる
  • WBGT値が下がっても、定められた休憩時間中は作業再開しない
  • 使用者からの作業復帰指示がない
  • 労働者が権利として労働から離れることが保障されている

💡 実務上の留意点

1. 拘束時間の配慮

作業中断時間を休憩時間とする場合、労働者の1日の拘束時間が長時間に及ばないよう配慮が必要です。

2. 手当の支払い

労使の話し合いによって、休憩時間とした時間に対しても手当を支払うことは可能です。ただし、手当を支払った場合は手待時間として労働時間に該当することになります。

3. 工期設定への配慮

夏季の工事では、熱中症予防のため休憩時間が長く設定される場合があることを考慮した適正な工期設定が重要です。

4. 労務費の適正設定

発注・受注時には、労働者への適切な賃金・手当の支払いに配慮した労務費などの価格設定への留意が必要です。

 

🌿 WBGT値について

WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature)値は、暑熱環境による熱ストレス評価を行う暑さ指数です:

  • 自然湿球温度
  • 黒球温度
  • 気温(乾球温度) から算出される数値で、熱中症予防の重要な指標となります。

🔍 沖縄の建設業界における実践的対応策

就業規則・労働契約の整備

熱中症対策による作業中断の取り扱いについて、あらかじめ就業規則や労働契約で明確に定めておくことをお勧めします。

労働者への説明責任

作業中断時間の取り扱いについて、労働者に対して事前に丁寧な説明を行い、理解を得ることが重要です。

記録の適切な管理

作業中断の理由、時間、その間の労働者の処遇について、適切に記録を残しておくことで、後日のトラブル防止につながります。

 

📞 まとめとご相談のご案内

熱中症対策は労働者の生命と健康を守る重要な取り組みです。一方で、労働時間管理の観点からも適切な対応が求められます。

沖縄の建設業界特有の課題について、労務管理の専門家として皆様のお役に立てるよう、つばさ社会保険労務士事務所では以下のサービスを提供しております:

  • 就業規則の作成・改定支援
  • 労働時間管理制度の構築支援
  • 熱中症対策を含む安全衛生管理体制の整備
  • 労務相談・トラブル対応

 

労働者の安全と適切な労務管理の両立について、お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。御社の持続可能な成長をサポートいたします。


このコラムを書いている人

玉城翼の写真

玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

▶コラム: 私が社労士になった理由