
こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
沖縄県の経営者・人事担当者の皆さまから、「せっかく採用した新卒者がすぐに辞めてしまう」というご相談を数多くいただきます。実は、この課題は沖縄県特有の深刻な問題なのです。
📈 沖縄の新卒離職率の現状
全国との比較で見る深刻さ
最新の沖縄労働局の発表データによると、令和2年3月卒業者の就職後3年以内離職率は:
- 高校卒:48.5%(全国37.0%)
- 大学卒:39.6%(全国32.3%)
つまり、沖縄では新卒者の約2人に1人(高校卒)、3人に1人以上(大学卒)が3年以内に離職している計算になります。この数字は全国平均を大きく上回っており、企業にとって重大な経営課題といえるでしょう。
離職のタイミング分析
特に注目すべきは1年目の離職率です:
- 高校卒1年目:23.0%(全国15.1%)
- 大学卒1年目:13.4%(全国10.6%)
入社してわずか1年で、高校卒者の約4人に1人が離職している現実があります。
🔍 早期離職の主な理由を理解する
調査データから見える離職理由の特徴は以下の通りです:

▲独立行政法人労働政策研究・研修機構 「第2回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」より抜粋
1年未満での離職理由(上位3位)
- 労働時間・休日・休暇の条件 (29.2%)
- 人間関係 (22.7%)
- 仕事のミスマッチ (21.8%)
これらのデータから、労働条件の明確化、職場環境の改善、採用時のミスマッチ防止が重要であることがわかります。
💡 効果的な定着支援策
✅ 採用段階での対策
1. インターンシップ(職場体験)の積極活用
- 実際の業務体験を通じたミスマッチの防止
- 職場の雰囲気や企業文化の理解促進
2. 採用選考プロセスの改善
- 面接での双方向コミュニケーション重視
- 企業側も候補者をしっかり見極める姿勢
✅ 入社後の定着支援
1. 充実した人材定着制度
- 入社前研修から段階的な業務導入
- メンター制度による個別サポート
2. 定期的なフォローアップ面談
- 月1回程度の上司との1on1面談
- 悩みや不安の早期発見・解決
3. キャリア開発支援の充実
- 明確なキャリアパス提示
- スキルアップ研修の機会提供
✅ 職場環境の整備
1. ハラスメント防止対策の徹底
- 相談窓口の設置と周知
- 管理職向けハラスメント防止研修
重要な注意点
- 誓約書による退職防止は、強制労働禁止(労働基準法5条)や公序良俗違反(民法90条)により無効となるリスクがあります
- ハラスメントが原因の退職では、使用者側が損害賠償責任を負う場合があります
2. ワークライフバランス推進
- 働き方改革の具体的取り組み
- 有給取得率の向上施策
⚖️ 法的観点から見る内定辞退・早期退職対策
内定の法的性質を理解する
過去の最高裁判決(大日本印刷事件)では、内定は「解約権留保付労働契約」と位置づけられています。つまり、内定通知の時点で労働契約は成立しており、内定辞退は契約の解除として扱われます。
法的防止策の限界
法律上は内定辞退や入社直後の退職を直接的に防止する手段はありません。民法上、労働者には以下の権利が保障されています:
- 期間の定めのない契約:2週間前の申し出で退職可能(民法627条)
- やむを得ない事由:即時解除が可能(民法628条)
🎉 まとめ
沖縄の新卒離職率の高さは確かに課題ですが、適切な対策を講じることで大幅な改善が可能です。重要なのは、採用から定着まで一貫した戦略的アプローチを取ることです。
特に、入社前の期待値調整と入社後のきめ細かなサポートが、定着率向上の鍵となります。
📞 お困りごとはございませんか?
新卒者の定着率改善、就業規則の見直し、職場環境の改善など、人材定着に関するお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
つばさ社会保険労務士事務所では、沖縄の企業様の実情に合わせた実践的なソリューションをご提案いたします。
✉️ 無料相談実施中!
まずはお電話またはメールでお気軽にお問い合わせください。
沖縄の中小企業の皆さまの「人材定着」を全力でサポートいたします。
この記事が参考になりましたら、ぜひ他の経営者仲間にもシェアしていただけると嬉しいです。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由