こんにちは!沖縄中部の社会保険労務士、玉城翼です。 今回は、複数事業場を運営される経営者・人事担当者の皆さまに向けて、時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)の本社一括届出についてお話しします。特に、e-Govを活用した電子申請のメリットと効率的な手続き方法について詳しく解説いたします。
📊 本社一括届出制度のメリットとは?
事務負担の大幅軽減
複数の事業場を持つ企業にとって、36協定の届出は本来、各事業場ごとに行う必要があります。しかし、本社一括届出制度を活用することで、本社でまとめて手続きを行うことが可能になります。これにより、事務処理の負担が劇的に軽減され、担当者の時間をより戦略的な業務に充てることができるのです。
特に沖縄県内でチェーン展開されている小売業や飲食業の皆さまには、大きな恩恵をもたらすでしょう。
2021年法改正による要件緩和 🎯
2021年4月の法改正により、電子申請に限り、各事業場の労働者代表が異なる場合でも本社一括届出が可能となりました。これにより、従来は困難だった多店舗展開企業でも、一括申請のメリットを享受できるようになったのです。
💻 e-Gov電子申請の実践ポイント
事前準備のチェックリスト
必須アイテム:
- GビズIDまたは電子証明書
- Windows OS端末
- 最新版の「一括届出事業場一覧作成ツール」
手続きの流れ
- e-Govアカウントでログイン
-
CSVファイルの作成 📋
- 厚生労働省提供ツールを使用
- 最大30,000事業場まで登録可能
- 入力チェック機能でエラーを事前回避
- 申請書の入力と提出
- 受理通知書のダウンロード(90日以内必須)
⚠️ よくある落とし穴と対策
「締結」と「届出」の明確な区別
ここが重要なポイントです!本社一括届出は、あくまで「届出」の効率化であり、36協定の「締結」そのものを本社で一括して行えるわけではありません。各事業場では、引き続き労働者代表との適切な協定締結が必要です。
ファイル形式の注意点
- 推奨形式: PDF、JPEG
- ファイルサイズ上限: 1ファイル50MB、合計100MB
- ファイル名: 半角スペースや特殊文字は避ける
MacOSユーザーの対応策
残念ながら、一括届出事業場一覧作成ツールはMacOSに対応していません。Windows端末での作業が必要となりますので、事前に環境を整えておきましょう。
🔧 トラブルシューティング
よくあるエラーメッセージ
「労働者数が未入力」エラー → 時刻の入力形式(8時→08時)や、ハイフンの種類に注意
「添付書類ファイル名称に使用できない文字」エラー → ファイル名から半角スペースや特殊文字を削除
認証関連エラー → 電子証明書の有効期限やGビズIDアカウント種別を確認
📈 5つのポイント
- 制度理解の徹底 - 協定締結と届出の区別を明確に
- 計画的な申請スケジュール - 余裕を持った締切管理
- デジタル環境の整備 - 推奨環境とツールの準備
- 文書管理体制の強化 - 受理通知書の確実な保管
- 継続的な情報収集 - 制度改正やツール更新への対応
✅ まとめ
36協定の本社一括届出における電子申請は、適切に活用すれば大幅な業務効率化を実現できる優れた制度です。一方で、法的要件の理解と技術的な準備が成功の鍵となります。
特に沖縄県内の中小企業の皆さまにとって、限られたリソースの中で法令遵守と業務効率化を両立させることは重要な経営課題です。この制度を活用し、より戦略的な人事労務管理を実現していただければと思います。
🏢 つばさ社会保険労務士事務所からのご案内
36協定の電子申請に関するご相談、就業規則の整備、労務管理全般についてサポートをご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。沖縄中部を中心に、実務に根ざしたアドバイスで企業の持続的成長をお手伝いいたします。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由