
こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
沖縄県内の中小企業の経営者・人事担当者の皆様、「繁忙期と閑散期の労働時間管理に頭を悩ませている」「残業代支出を抑えながら従業員のワークライフバランスも改善したい」そんなお悩みをお持ちではありませんか?
本日は、そのような課題を解決する「1年単位の変形労働時間制」について、実務に精通した社労士の視点から詳しく解説いたします。
🔍 1年単位の変形労働時間制とは?
1年単位の変形労働時間制とは、業務の繁閑に応じて労働時間を柔軟に配分できる制度です。
例えば:
- 繁忙期(夏季・年末年始等): 1日10時間、週52時間まで設定可能
- 閑散期: 1日6時間程度に短縮
このように1年を通じて平均週40時間以内になるよう調整することで、効率的な労働時間管理を実現できます。
📊 他の変形労働時間制との違い
制度の種類 | 期間 | 1日の上限 | 1週の上限 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
1年単位 | 1ヶ月超~1年以内 | 10時間 | 52時間 | 年間を通じた柔軟な調整が可能 |
1ヶ月単位 | 1ヶ月以内 | 制限なし | 平均40時間 | 月単位での調整 |
1週間単位 | 1週間 | 10時間 | 40時間 | 週単位での調整(宿泊・飲食業等) |
💡 導入によるメリット
1. 従業員のワークライフバランス向上
閑散期に労働時間を短縮することで、従業員がプライベート時間を有効活用でき、モチベーション向上につながります。
2. 業務効率・生産性の向上
繁忙期に集中して業務を行い、閑散期はリフレッシュする「メリハリのある働き方」により、全体的な生産性向上が期待できます。
⚠️ 導入時の注意点とデメリット
1. 労働時間管理の複雑化
従来の「土日休み・平日8時間」といった単純な管理から、日々異なる労働時間の管理が必要となり、人事担当者の負担が増加する可能性があります。
2. 従業員の健康管理への配慮
繁忙期の長時間労働が従業員の健康に与える影響を考慮し、適切な休息確保と健康管理体制の整備が不可欠です。
3. 導入手続きの複雑さ
労使協定の締結、就業規則の変更、労働基準監督署への届出など、複数の法的手続きが必要となります。
📋 導入に必要な法的要件
🔹 労働時間の上限
- 1日: 最大10時間
- 1週: 最大52時間
- 年間労働日数: 280日以内
🔹 連続労働日数の制限
- 通常期: 最大6日連続
- 特定期間: 最大12日連続(週1日の休日確保が条件)
🔹 必要な手続き
- 労使協定の締結(6項目の協定事項)
- 就業規則の変更・届出
- 労働基準監督署への届出
- 従業員への周知
🏢 沖縄の中小企業に適した業種
観光・サービス業
夏季の観光シーズンと冬季の閑散期がはっきりしている沖縄の観光業には最適です。
小売・流通業
お中元・お歳暮、年末年始商戦など季節要因による繁閑差のある業種に効果的です。
建設業
台風シーズンや年度末工事など、時期による業務量変動に対応できます。
💰 残業代計算の仕組み
変形労働時間制では、残業代の計算が日・週・年の3段階で判定されます:
- 日単位: 設定した1日の所定労働時間または8時間を超えた分
- 週単位: 設定した1週の所定労働時間または40時間を超えた分
- 年単位: 年間の法定労働時間総枠(2,085.7時間)を超えた分
🚀 導入のポイント
✅ 事前準備の重要性
- 現状の労働時間実態調査
- 繁忙期・閑散期の明確化
- 従業員への丁寧な説明
- 段階的な導入検討
✅ 継続的な運用管理
- 定期的な労働時間実績の分析
- 従業員の健康状態モニタリング
- 必要に応じた制度の見直し
🎯 まとめ
1年単位の変形労働時間制は、適切に運用すれば企業と従業員双方にメリットをもたらす優れた制度です。しかし、法的要件の遵守と丁寧な制度設計が成功の鍵となります。
沖縄の中小企業の皆様が持続可能な経営と働きやすい職場環境を両立できるよう、当事務所では制度導入から運用までトータルサポートいたします。
📞 お困りの際はお気軽にご相談ください
つばさ社会保険労務士事務所では、沖縄県内の中小企業様の労務管理をサポートしています。
🔸 労働時間制度の設計・導入支援
🔸 就業規則の作成・見直し
🔸 労務相談・コンサルティング
初回相談は無料で承っております。変形労働時間制の導入をご検討の際は、ぜひお気軽にお声かけください。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由