
こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城です。
今回は、経営者や人事担当者の皆さまが特に関心をお持ちの メンタルヘルス対策 について、最新の制度改正情報も含めてお話しさせていただきます。
近年、働く人のストレス要因は多様化し、沖縄県内の中小企業でも「従業員のメンタル不調」に関するご相談が増えています。適切な対策を講じることで、従業員の健康を守りながら、生産性向上と働きやすい職場づくりを実現できます。
📊 ストレスチェック制度の重要性とは
現行制度の概要
現在、50人以上の事業場では年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。しかし、この制度の目的を正しく理解している企業は意外と少ないのが現状です。
ストレスチェック制度の 真の目的 は以下の3点です:
- 一次予防:メンタルヘルス不調の未然防止
- 気づきの促進:労働者自身のストレス状況の把握
- 職場環境改善:集団分析結果を活用した組織的対策
制度改正の最新動向
重要な変更点 として、現在50人未満の事業場で努力義務となっているストレスチェックについて、近い将来 義務化 されました(※公布後3年以内に政令で定める日から施行)。
小規模事業者の皆さまも、今から準備を進めておくことで、制度変更時にスムーズに対応できるでしょう。
🎯 効果的なセルフケア支援の進め方
ストレス要因の3つの領域を理解する
職業性ストレスモデルでは、以下の3領域でストレス状況を把握します:
【A】仕事のストレス要因
- 仕事の負担量・質
- 裁量権の有無
- 人間関係
- 職場環境
【B】ストレス反応
- 心理面:抑うつ感、不安感
- 身体面:頭痛、疲労感、睡眠障害
- 行動面:遅刻・欠勤の増加
【C】緩衝要因(職場のサポート)
- 上司からのサポート
- 同僚からのサポート
- 家族・友人からのサポート
実践的な対策のポイント
1. 職場でできる簡単なストレス軽減法
リラクセーション法の導入
- 深呼吸法や簡単なストレッチの実施
- 休憩時間の有効活用促進
- 職場環境の整備(照明、温度、騒音対策)
コミュニケーション環境の改善
- 1on1ミーティングの定期実施
- 「声かけ・聴く・つなぐ」の風土づくり
- 感謝の言葉を伝え合う文化の醸成
2. 睡眠と生活習慣の改善支援
良質な睡眠は、メンタルヘルス維持の基盤です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に基づく取り組みを推奨します:
- 適正な睡眠時間の確保(6時間以上を目安)
- 寝室環境の改善(暗く、静かで、適温な環境)
- 就寝前のスマートフォン利用制限
- 規則正しい食事と適度な運動
🏢 中小企業に特化した実務的アプローチ
段階的導入のススメ
多くの中小企業では、いきなり大規模な制度導入は困難です。以下のような 段階的なアプローチ をお勧めします:
第1段階:基盤づくり
- 管理職への基礎的な研修実施
- 相談窓口の設置
- 労働時間管理の適正化
第2段階:仕組みの構築
- 簡易版ストレスチェックの試行
- 職場環境改善の取り組み開始
第3段階:制度の定着
- 継続的なモニタリング体制の構築
- 成果の測定と改善
- 全社的な健康経営の推進
沖縄県内で活用できる支援制度
沖縄産業保健総合支援センター(https://www.okinawas.johas.go.jp/)では、中小企業向けの支援を行っています。メンタルヘルス対策の専門的な助言や研修プログラムの提供を受けることができます。
📞 まとめ:今すぐ始められる3つのアクション
- 現状把握:職場のストレス要因を洗い出す
- 環境整備:コミュニケーション促進と相談しやすい雰囲気づくり
- 継続的支援:従業員の声に耳を傾け、改善を続ける
メンタルヘルス対策は、一度実施すれば終わりではありません。継続的な取り組みを通じて、従業員が安心して働ける職場環境を構築していくことが重要です。
💡 つばさ社会保険労務士事務所では、沖縄県内の中小企業の皆さまに寄り添ったメンタルヘルス対策支援を行っています。ストレスチェック制度の導入から職場環境改善まで、実務に根ざしたサポートを提供いたします。
お困りごとやご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。一緒に働きやすい職場づくりを進めていきましょう!
参考資料:厚生労働省「セルフケア こころの健康 気づきのヒント集」、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由