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資格確認書の送付がスタート〜事業主様に知っておいていただきたいポイント〜

いつもお疲れ様です。つばさ社会保険労務士事務所の玉城です。

2025年8月に入り、従来の健康保険証に代わる「資格確認書」の送付が全国的に開始されました。沖縄県内の中小企業経営者・人事担当者の皆様におかれましては、従業員の皆様から資格確認書に関するご質問を受ける機会も増えているのではないでしょうか。

今回は、協会けんぽから発信されている最新情報をもとに、事業主様が押さえておくべき重要なポイントをわかりやすく解説いたします。

健康保険証廃止の背景と新制度のしくみ

令和6年12月2日の制度改正

令和6年12月2日をもって、従来の健康保険証新規発行が終了されました。これは、政府が推進するデジタル化政策の一環として実施された大きな制度変更です。

現在は、マイナンバーカードに保険証利用登録を行った「マイナ保険証」が健康保険証の主流となっています。しかし、さまざまな理由でマイナ保険証を利用できない方のために、「資格確認書」という新しい制度が設けられました。

協会けんぽ 資格確認フロー図

                                          ▲資格確認証見本

資格確認書とは何か

 資格確認書は、マイナ保険証をお持ちでない方が医療機関等で保険診療を受ける際に必要となる証明書(カード)です。従来の健康保険証と同様の機能を持ち、医療機関窓口で提示することで、これまでどおり保険診療を受けることができます。

協会けんぽからの資格確認書送付について

送付対象者

協会けんぽでは、以下の条件に該当する方に資格確認書を送付しています:

送付対象となる方

  • 令和6年11月29日までに新規に資格取得(扶養認定)の決定をされた方
  • 令和7年4月30日時点でマイナ保険証をお持ちでない方

具体的には、以下のような状況の方が対象となります:

  • マイナンバーカードをお持ちでない方
  • マイナンバーカードは取得しているが、健康保険証利用登録を行っていない方
  • マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れている方

送付時期と方法

送付時期 令和7年7月下旬から10月下旬にかけて、都道府県支部ごとに順次送付されています。

    沖縄支部は8月15日〜8月22日の期間で送付が予定されています。

送付先 被保険者様のご自宅に特定記録郵便で送付されます。ご家族(被扶養者)の資格確認書についても、被保険者様のご自宅にまとめて送付されます。

 

事業主様にお願いしたい重要な対応

不着時の再送付について

最も重要なポイントとして、資格確認書が被保険者様のご自宅に送付後、宛所不明等の理由により不着となった場合は、事業所様へ再度送付されることになっています。

このような場合には、事業所のご担当者様には速やかな配布へのご協力をお願いいたします。従業員の皆様の医療機関受診に支障をきたさないよう、迅速な対応が求められます。

事前の一覧表送付について

送付対象者がいらっしゃる事業所様には、対象者が掲載された一覧表が7月下旬に事前送付されています。この一覧表をご確認いただき、対象となる従業員の皆様への事前のご案内や準備にお役立てください。

資格喪失時の返却について

資格確認書がお手元に届いた時点で健康保険の資格を喪失されている方については、同封されている返信用封筒でのご返却が必要となります。事業主様におかれましても、該当する従業員の方がいらっしゃる場合は、適切な手続きのご案内をお願いいたします。

 

従業員の皆様からのご質問への対応

よくあるご質問と回答例

Q:資格確認書はいつまで有効ですか? A:有効期限は5年以内で保険者が設定することとなっており、資格確認書に記載されています。

Q:マイナ保険証と資格確認書、どちらを使えばよいですか? A:マイナ保険証をお持ちの方は、マイナ保険証のご利用をお勧めします。医療情報の共有や高額療養費制度の自動適用など、より便利な機能をご利用いただけます。

Q:資格確認書を紛失した場合はどうすればよいですか? A:協会けんぽマイナンバー専用ダイヤル(0570-015-369)にお問い合わせください。

情報提供の重要性

従業員の皆様に対しては、マイナ保険証の利点についても積極的にお伝えいただければと思います。マイナ保険証を利用することで、医療情報の共有による質の高い医療の提供や、限度額適用認定証なしでの高額療養費制度の適用など、多くのメリットがあります。

 

人事労務管理上の留意点

従業員の健康管理への配慮

この制度変更に伴い、一時的に従業員の皆様に混乱が生じる可能性があります。特に、普段医療機関を利用される頻度の高い従業員の方や、ご高齢のご家族をお持ちの方については、より丁寧なご説明とサポートが必要かもしれません。

労務手続きとの連携

新入社員の健康保険資格取得手続きの際には、マイナ保険証の利用登録についてもご案内いただくことで、資格確認書の送付を避けることができます。また、退職時の資格喪失手続きの際には、資格確認書の返却についてもご案内ください。

 

まとめ

今回の健康保険証から資格確認書・マイナ保険証への移行は、日本の社会保障制度の大きな変革です。一時的な混乱はあるものの、長期的には医療サービスの質向上と効率化に繋がる重要な改革といえるでしょう。

事業主様におかれましては、従業員の皆様が安心して医療機関を受診できるよう、適切な情報提供と必要に応じたサポートをお願いいたします。

何かご不明な点やご相談事項がございましたら、お気軽につばさ社会保険労務士事務所までお問い合わせください。沖縄県内の中小企業の皆様の健全な事業運営をサポートするため、引き続き最新の制度情報と実務に即したアドバイスを提供してまいります。


つばさ社会保険労務士事務所へのお問い合わせ

労務管理や社会保険手続きでお困りのことはございませんか?当事務所では、沖縄県内の中小企業様を対象に、労務コンサルティングから各種手続き代行まで幅広くサポートしております。

健康保険制度の変更に伴う従業員への説明資料作成や、人事制度の見直し、働き方改革への対応など、人事労務に関するあらゆるご相談を承っております。

 

無料相談実施中です。お気軽にお電話またはメールにてお問い合わせください。沖縄の企業様の発展を全力でサポートいたします。


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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