はじめに
沖縄の皆さん、こんにちは。つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
2025年4月に新たに創設された「出生後休業支援給付金」は、子育てファミリーにとって非常に重要な制度です。特に沖縄県内の中小企業にお勤めの方々にとって、この新制度の活用は家計の安定に大きく寄与します。
本日は、この新制度について、実務経験を踏まえてわかりやすくご説明いたします。
出生後休業支援給付金とは?
出生後休業支援給付金は、2025年4月に創設された雇用保険の新たな給付制度です。既存の出生時育児休業給付金や育児休業給付金に上乗せで支給される給付金で、子育て世代の経済負担軽減を目的としています。
給付率の画期的な向上
従来の制度 | 新制度(上乗せ分) | 合計給付率 |
---|---|---|
出生時育児休業給付金 67% |
出生後休業支援給付金 13% |
80% |
育児休業給付金 67% |
出生後休業支援給付金 13% |
80% |
これにより、育児休業中でも手取り10割相当の収入を確保できるようになりました。
支給要件をクリアするために
出生後休業支援給付金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
基本的な支給要件
-
被保険者自身の要件
- 対象期間内に出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される育児休業を通算14日以上取得していること
-
配偶者の要件
- 配偶者も同じ対象期間内に通算14日以上の育児休業を取得していること
- または、配偶者が「育児休業を要件としない場合」に該当していること
配偶者の育児休業を要件としない場合
番号 | 該当事由 |
---|---|
1 | 配偶者がいない |
4 | 配偶者が無業者 |
5 | 配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない |
6 | 配偶者が産後休業中 |
申請手続きのポイント
提出書類と注意点
出生後休業支援給付金の申請は、原則として出生時育児休業給付金または育児休業給付金と一体的に申請します。
主な必要書類:
- 育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書
- 母子健康手帳(出生届出済証明のページ)
- 配偶者の育児休業取得状況等が確認できる書類
申請期限
被保険者の育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までに申請する必要があります。
実務担当者として感じるメリット
私が日頃の労務相談で感じる、この制度の大きなメリットをお伝えします。
1. 経済的安心感の向上
手取り収入の10割相当が確保されることで、育児休業取得への心理的ハードルが大幅に下がります。
2. 男性の育児参加促進
特に沖縄の企業では、まだまだ男性の育児休業取得率が低い印象です。この制度により、経済的な理由で育休取得を躊躇していたご夫婦にとって、取得しやすい環境が整いました。
3. 企業の人材確保・定着
従業員の離職防止と、優秀な人材の確保につながります。特に沖縄の中小企業にとって、人材の定着は大きな課題の一つです。
まとめ
出生後休業支援給付金は、子育て世代の経済的負担を大幅に軽減する画期的な制度です。ただし、要件や手続きが複雑な部分もあるため、早めの準備と適切な申請が重要です。
沖縄県内の企業の皆様、従業員の皆様におかれましては、この新制度を有効活用し、安心して子育てができる環境づくりにお役立てください。
お問い合わせ・ご相談について
育児休業給付金や労務管理に関するご質問、制度の詳細な活用方法については、お気軽にご相談ください。
つばさ社会保険労務士事務所では、沖縄県内の中小企業の皆様を対象に、実務に即したサポートを提供しております。制度を正しく理解し、最大限活用していただけるよう、丁寧にサポートさせていただきます。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
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