こんにちは。つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。
9月5日、厚生労働省から「業務改善助成金」の大幅な拡充が発表されました。この変更は、最低賃金引上げの影響を受ける沖縄県内の中小企業にとって、非常に重要な支援策となります。
従来よりも対象範囲が広がり、手続きも簡素化されるなど、多くの企業様にとって活用しやすくなっています。今回は、この拡充内容について詳しく解説いたします。
業務改善助成金とは
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を引き上げる中小企業に対し、生産性向上のための設備投資費用の一部を助成する制度です。設備投資と賃金引上げをセットで行うことで、企業の持続的な成長を支援します。
令和7年度沖縄県最低賃金は時給1,023円(71円引上げ)に改定されることが答申されており、この大幅な引上げに対応するための重要な支援策として位置づけられています。
今回の拡充で変わる3つの重要ポイント
①対象事業所の大幅拡大(沖縄県の場合)
【従来】 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内の事業所のみ
【拡充後】 改定後の地域別最低賃金未満までの事業所すべて
区分 | 従来の対象範囲 | 拡充後の対象範囲 |
---|---|---|
対象となる事業場内最低賃金 |
952円~1,002円 (50円幅のみ) |
952円~1,022円 (70円幅に拡大) |
対象事業所数 | 限定的 | 大幅に増加 |
影響を受ける企業 | 一部の企業のみ | 多くの中小企業が対象 |
この拡充により、沖縄県内の多くの中小企業が助成対象となる可能性が高まりました。特に、これまで対象外だった事業所も新たに申請可能となります。
②申請手続きの大幅簡素化
【従来】 必ず事前に賃金引上げ計画を提出し、審査を受けてから実施
【拡充後】 特定期間内の賃金引上げについては、事前計画の提出を省略可能
令和7年9月5日から令和7年度当該地域の最低賃金改定日の前日までに賃金引上げを実施していれば、賃金引上げ計画の事前提出が不要となります。これにより、迅速な対応が可能になりました。
沖縄の中小企業が今すぐ検討すべき活用方法
製造業・サービス業での設備投資例
- 生産性向上設備:業務効率化システム、省力化機械
- 顧客サービス向上:POSシステム、オンライン予約システム
- 労働環境改善:空調設備、照明設備の省エネ化
沖縄の高温多湿な気候を考慮した労働環境改善投資は、従業員の健康管理と生産性向上の両面で効果的です。
観光・飲食業での活用ポイント
観光業が盛んな沖縄では、インバウンド需要への対応も重要です。多言語対応システムや決済システムの導入などは、生産性向上と顧客満足度向上を同時に実現できます。
申請前に確認すべき重要事項
対象となる設備・経費
- 機械設備(POSレジ、製造機械等)
- ソフトウェア(業務管理システム、会計ソフト等)
- コンサルティング経費(専門家指導費用)
- 研修費(従業員のスキルアップ研修)
申請の注意点
- 交付決定前の設備導入は対象外となります
- 申請期限は各地域の最低賃金改定日の前日です
- 年度内1回限りの申請となります
- 予算の範囲内での交付のため、早めの申請が推奨されます
つばさ社会保険労務士事務所がサポートできること
私たちは、沖縄県内の中小企業の皆様に向けて以下のサポートを提供しています:
申請支援サービス
- 対象可否の事前診断
- 設備投資計画の策定支援
- 事業実施計画の作成アドバイス
労務管理総合支援
業務改善助成金の活用と合わせて、就業規則の見直し、賃金制度の整備、人事評価制度の構築など、総合的な労務管理改善をサポートいたします。
沖縄の企業風土を理解した実務的なアドバイスで、皆様の企業成長をお手伝いします。
まとめ
今回の業務改善助成金拡充は、最低賃金引上げへの対応と生産性向上を同時に実現する絶好の機会です。特に沖縄県内の中小企業にとっては、従来よりも活用しやすくなった制度を積極的に活用していただきたいと思います。
申請期限や予算の制約もありますので、ご検討中の企業様はお早めにご相談ください。つばさ社会保険労務士事務所では、皆様の申請成功に向けて全力でサポートさせていただきます。
つばさ社会保険労務士事務所
代表:玉城翼
社会保険労務士・キャリアコンサルタント
労務管理・組織づくり・人材育成・助成金活用のご相談は、地域密着型の当事務所まで気軽にお問い合わせください。沖縄中部地域の企業様を中心に、実務に根ざした支援を提供いたします。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由