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「モームリ」社長逮捕のニュースから考える、安全な専門家の選び方

退職代行サービス大手「モームリ」の運営会社代表らが逮捕されたというニュースが大きく報じられました。テレビやSNSで目にした方も多いのではないでしょうか。

「退職代行を使ったら逮捕されるの?」 「業者にお願いするのはいけないことなの?」

と不安に思った方もいらっしゃるかもしれません。

実はこの事件、私たち「社会保険労務士(社労士)」の業界とも非常に深い関わりがあります。 今回は、なぜ今回の逮捕が起きたのか、そして私たち一般市民が専門家や代行サービスを利用する際に気をつけるべきポイントについて、わかりやすく解説します。

 

なぜ「紹介」しただけで逮捕されたのか?

今回の逮捕容疑は「弁護士法違反(非弁活動・非弁提携)」というものです。

法律では、弁護士資格を持っていない人が、報酬をもらう目的で「法律に関わる交渉」や「弁護士へのあっせん(仲介)」をすることを厳しく禁止しています。

報道によると、今回のケースでは、業者が利用者の依頼を受け、会社との交渉が必要になった際に特定の弁護士を紹介し、その対価として弁護士側から手数料(キックバック)を受け取っていた疑いが持たれています。

なぜこれが禁止されているのでしょうか? それは、「お客様の利益」よりも「仲介業者の利益」が優先されてしまう危険があるからです。

もし、弁護士が業者に手数料を払わなければならないとしたら、どうなるでしょうか。弁護士は手数料を払ってくれる業者の顔色をうかがい、本来ならもっと時間をかけて交渉すべき案件を急いで終わらせたり、お客様にとって不利な条件でも妥協したりしてしまうかもしれません。

法律は、こうした「見えない癒着」から依頼者を守るために、厳しいルールを定めているのです。

 

実は「社労士」にも同じようなルールがあります

この話は、弁護士だけの問題ではありません。私が専門とする「社会保険労務士」の世界でも、全く同じ構造のルールがあります(社会保険労務士法第23条の2)。

私たち社労士も、無資格のコンサルタント会社やブローカーから「仕事を紹介するから手数料をください」と言われて提携することは、法律で固く禁じられています。

例えば、沖縄でもよくある「助成金」の申請。 「返済不要のお金がもらえます」と営業をかけてくる無資格の業者が、書類作成だけを社労士に丸投げし、高額な手数料を取るケースが全国で問題になっています。

これも弁護士法のケースと同じで、間に業者が入ることで以下のようなリスクが生まれます。

  • 責任の所在があいまいに: 手続きにミスや不正があっても、業者は「自分は専門家ではない」と逃げてしまい、最終的に依頼した会社が責任を問われることになります。

  • 不適切な申請: 業者の利益のために、本来は対象にならないはずの申請を無理やり通そうとする不正(助成金詐欺など)に巻き込まれる恐れがあります。

安全なサービスを選ぶために知っておきたいこと

皆様がトラブルに巻き込まれないために、以下のポイントをチェックしてみてください。

  • 「交渉」ができるのは弁護士だけ: 退職代行などで、会社に対して「有給休暇を消化させてほしい」「未払い残業代を払ってほしい」と交渉できるのは、原則として弁護士(または労働組合)だけです。一般の代行業者にはその権限がありません。

  • 専門家と直接契約しているか: 会社の手続きなどを依頼する場合、コンサルティング会社や仲介業者を通してではなく、資格を持った専門家と「直接」顔を合わせて(またはオンラインで)契約を結ぶのが最も安全です。

「便利なサービス」の裏側に、無理な仕組みがないか。 今回のニュースは、私たちが専門家をどう選ぶべきか、改めて考えるきっかけを与えてくれています。

 

まとめ

  

よくある質問

専門家がお答えします(Q&A)

Q. 退職代行サービスを使うこと自体が違法なのですか?

A. いいえ、サービスを利用すること自体は違法ではありません。 ただし、運営元が弁護士や労働組合でない場合、彼らは「退職したい」という意思を会社に伝える(伝言する)ことしかできません。会社側から「損害賠償を請求する」と言われたり、有給休暇の交渉が必要になったりした場合、対応できなくなる可能性があります。トラブルを避けたい場合は、対応できる範囲をよく確認しましょう。

Q. 知り合いのコンサルタントに会社の保険手続きを全部任せていますが、大丈夫でしょうか?

A. 社労士資格を持たない人が、報酬を得て手続きを代行することは法律で禁止されています。 もしそのコンサルタントが窓口になっているだけで、実際の手続きを誰が行っているか不明確な場合、万が一のミスや不正があった際に会社が大きな責任を負うことになりかねません。「誰が」責任を持って手続きしているのか、確認することをお勧めします。

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このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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