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特定社会保険労務士の試験、合格しました。AIで予想問題を作って対策した話

 

今日(令和8年3月13日)、第21回紛争解決手続代理業務試験の合格発表がありました。

 

無事、合格できました🎉

 

朝8時半に官報で番号を確認して、そのまましばらく画面を見つめてたのが正直なところです。嬉しいんですけど、「あ、本当に受かったんだ」って実感がちょっと遅れてやってくる感じ。

 

せっかくなので、今回の勉強法を書き残しておこうと思います。特にAIを使って予想問題を自作したというのが自分なりのチャレンジだったので、そのあたりを中心に。プロンプトも全文公開します。

 

この試験、どんな試験?

社労士登録後、所定の特別研修を修了した人だけが受験できる試験で、合格すると「特定社会保険労務士」として都道府県労働局のあっせん手続などで労働者や会社の代理人になれます。

受験者数 1,041人
合格者数 526人
合格率 50.5%
合格基準 55点以上 かつ 第2問10点以上

 

合格率50.5%のなので合格しやすいように見えますが、合格率6%の社労士試験を潜り抜けた方のうちの50.5%ですし問題も記述式でかなりの難易度だと感じました。複数回受験の方も当然いらっしゃり、研修講師であった特定社労士の先生によると、一度で合格する割合は感覚的に20%程度とのことです。

 今回の試験問題(第21回)はどんな内容だったか

第1問(70点)は「採用内定取消し」が主論点でした。転職活動中の40歳男性が、入社前の暑気払いで問題行動をとったとして内定を取り消された、という事例です。昭和54年の最高裁判例(解約権留保付労働契約の法理)を踏まえて、双方の立場から要件事実を摘示し、法的判断の見通しと解決策を論じる構成でした。

試験後に知ったのですが、この事例は実在する裁判例がベースになっていたようです。日経新聞でも取り上げられた「歓迎会での言動を理由に内定取消しとなった転職者が訴訟を起こした」ケース。実際の判決(東京地裁令和4年9月)では内定取消しは有効と判断されています。今後は労働紛争の最新判例も日常的に意識する必要があるかもしれません。

第2問(30点)は職業倫理の問題が2問。顧問先と関係する相手方の代理を受任できるか(社会保険労務士法22条2項)、労務監査でヒアリングした相手の反対側を代理できるか(守秘義務・信用失墜行為禁止等)——どちらも「受任できる/できない」を選んで250字以内で理由を書く形式です。


私の対策—AIで予想問題を自作した

過去問を解くのはもちろんやりました。ただ、この試験の過去問には少し厄介な事情があります。

古い回の問題と最近の問題では難易度と文章量が大きく違うんです。最近の試験は別紙の言い分が各3~4,000字あってかなりボリューミーですが、昔の問題はシンプルで正直かなり易しい。参考になるのは現実的には直近5回分くらい。

つまり質の高い練習素材が少ないという問題。そこで思いついたのが、AIを使って予想問題を自分で作ることでした。

なぜClaudeを選んだか

Geminiと併用しながら試していた時期もあります。でもGeminiには少し独特の癖があって、事例の業種をなぜかIT系にしたがるんですよね。横文字も多くて、生成された「言い分」の文体がどこか試験問題らしくなかった。

Claudeは日本語の文章が自然で、試験問題らしい「言い分」のトーンが出やすかった。文章生成の質という意味でClaudeが自分の用途に合っていると感じてからは、一本に絞りました。

設計で意識した4つのポイント

① 論点を絞る
主論点1つ+副論点0〜1つに限定。候補リストから選ばせることで焦点がぼやけない事例を生成。過去20回の試験問題の出題論点からランダムで選択するように設定しました。
② 文字数を多めに縛る
「各3,800〜4,200字」と明示。練習用は多めに設定しておくほうが要件事実の抽出訓練になる。
③ 採点基準まで出力させる
模範解答と採点ポイントも同時生成。ただし、あくまで参考程度。採点するのは人。
④ 倫理問題は「判断に迷う事案」に限定
結論が明白すぎる事案では練習にならない。迷いが生じる設定を明示的に指示。

 

▲今回、改めてClaudで作成してみた予想問題。この問題は本試験より少し簡単かもしれません。

 

試験当日の感触—正直、手応えはなかった

論点は想定していたものでしたが、問題の形式がこれまでの回と結構違っていたんです。別添資料の使い方や設問の切り口が変わっていて、労災保険がらみの要素も絡んできて、新しい形式への対応に迷いが出ました。

終わった瞬間の手応えはほぼゼロでした。「書いた」という事実だけがある、という感じ。

さらにダメ押しだったのが試験後です。特別研修のLINEグループに元になった裁判例が流れてきて、自分が書いた判断の方向性が判決と真逆だったことを知ります。私は「無効」方向で書いた。でも実際の判決は「有効」。

「あ、やっちゃったな」と思いました。正直、不合格を覚悟しました。

 

それでも合格できた理由-「結論」より「法的思考力」

ところが今日、番号がありました。

出題の趣旨にはっきり書いてあります——「有効・無効いずれの方向でも説得力ある構成とすることが可能である」と。この試験が問うのは「正しい結論を知っているか」ではなく「法的に筋の通った思考と説明ができるか」なんですよね。

AI予想問題を使った練習でも、模範解答の結論より、なぜその結論に至るのかという論理の組み立てを意識して読むほうが、ずっと実力になると思います。


AIを勉強に使うことについて、正直なところ

もちろん限界はあります。本試験が持つ「どちらの言い分にも相当の説得力があって結論が簡単に出ない」という設計の巧みさは、AIには完全には再現できません。

ただ、「論点の型を覚える」「答案の構造を身につける」「練習量を増やす」という目的においては、かなり有効でした。

また、AIの模範解答を鵜呑みにするのは危険です。「たたき台として使い、自分の知識で検証する」という姿勢が大事だと思います。


【付録】使用したプロンプト全文

実際にClaude(プロジェクト機能)に投入したプロンプトです。同じ試験を受けるの対策に活用したい方の参考になれば。

 

※プロンプト利用にあたり、ハルシネーション等(間違い)による内容の正確性について責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

※ 第20回試験問題・出題の趣旨・社会保険労務士法をプロジェクトに読み込んだ上で使用することを前提としています。ご自身の受験年度、方向性により変更してください。特に21回試験は出題形式が若干変わっていますので、修正は必要かと思います。

※ファイル(ナレッジ)に「紛争解決手続代理業務試験問題」、「社会保険労務士法」、「紛争代理業務試験出題の趣旨(試験問題と対応するもの)」の添付が必要です。「紛争解決手続代理業務試験問題」、「紛争代理業務試験出題の趣旨」は全国社会保険労務士連合会ホームページからログイン後ダウンロードできます。

※文章量が多いため、出力に相当な時間(20分程度)がかかると思います。

 

第21回紛争解決手続代理業務試験 問題作成プロンプト(Googleドキュメント)

 

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このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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