GW明けの新入社員、その「元気のなさ」を放置していませんか—五月病と職場メンタルヘルスケアの基本

GW明け、あの新入社員は本当に大丈夫ですか

ゴールデンウィークが明けてしばらく経った頃、「なんとなく元気がない」「ミスが増えた気がする」「朝、少し遅れがちになった」—そんな新入社員の変化が気になりながらも、どう声をかければいいか迷っている、という担当者の方は少なくないと思います。

沖縄県内は観光・飲食・小売をはじめとする第3次産業が産業の中心であり、若年層の離職率の高さは全国的にも課題として挙げられてきました。採用にかけた時間とコストを考えると、入社2〜3か月目の段階でそっと手を差し伸べられるかどうかが、その後の定着に大きく関わることがあります。

「気にしすぎかな」と思うかもしれません。ただ、その「少しの気がかり」こそが、担当者として一番大切にしてほしいサインです。

 


五月病とは—正式な病名ではないからこそ、見えにくい

五月病は医学的な診断名ではありません。医学的には適応障害や抑うつ状態との関連が指摘されています。正式な名称でないがゆえに、深刻さが伝わりにくく、本人も「甘えているだけかも」と抱え込んでしまうことがあります。

判断の目安として覚えておいていただきたいのは、「1週間以上」という継続期間です。入社直後の緊張感が薄れた後に、以前とは明らかに違う状態が1週間以上続いているのであれば、一時的な疲れではなく、メンタルヘルス上の不調として捉える必要があります。「元気がない」「ミスが増えた」という変化をそのまま流さず、観察を続けることが担当者の重要な役割です。

 


新入社員が不調になりやすい3つの理由

新入社員が直面する負荷は、大きく3つの視点から整理できます。

一つ目は、環境の劇的な変化です。学生から社会人への移行は、生活リズム・求められる規律・社会的立場のすべてが一変します。変化そのものが心身への大きな負担になります。

二つ目は、仕事上の責任と多様な人間関係です。社内の上司や先輩だけでなく、顧客・取引先など異なる価値観を持つ方々との関わりが一気に増えます。理不尽に感じる場面や、自分の価値観と合わない相手と関わる場面は、誰にとっても慣れるまでに時間がかかります。

三つ目は、物事の捉え方です。たとえば「最初は何でも聞いてと言っていた上司が、急に自分で考えなさいと言うようになった」という場面を、理不尽と感じるか、自分のステップが上がったチャンスと感じるかで、ストレスの大きさはまったく異なります。この「認知のあり方」は、個人の特性にもよりますが、職場のコミュニケーションによって変わる部分でもあります。

 

 

 


担当者として「早期に気づく」ために

対応の第一歩は、早期発見と声かけです。いきなり踏み込んだ相談でなくて構いません。「最近どう?慣れてきた?」という一言が、本人にとっては「見てもらえている」という安心感につながります。

もし本人が「辛い」と打ち明けてくれた場合は、まず話を聴く姿勢が大切です。解決策を急がず、「そういう気持ちになることはおかしくないよ」と伝えるだけで、心理的な負担はかなり軽くなります。直属の上司に相談しにくい場合は、人事担当者・先輩社員・外部窓口など、複数の相談先を用意しておくことが有効です。

 

また、報告・連絡・相談(いわゆる報連相)の習慣が定着していない新入社員ほど、一人で抱え込みやすい傾向があります。「わからないことを相談することはマイナスではない」という職場の空気を、日頃から意識してつくっておくことが、予防の観点でも重要です。

「相談するほどでもないかな」と思っていることが、実は一番大事だったりします。

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「対応できる体制がない」まま放置すると、何が起きるか

メンタル不調への対応が後手に回ったとき、事業者として直面するのは「休職・離職」というリスクです。横浜市立大学・産業医科大学の研究(2025年)によると、メンタル不調による一人あたりの年間生産性損失は約11.2万円に上ります。さらに、もし離職に至れば、厚生労働省の調査では正社員一人を採用するためのコスト(民間紹介経由)は平均85.1万円とされています。

入社直後に芽生えかけた不調を早期に支援できれば、その後の定着率は大きく変わる可能性があります。一方で、担当者自身が相談対応を抱え込みすぎると、今度は担当者のバーンアウトという別のリスクが生まれます。

法令面での整備も見逃せません。パワーハラスメント防止措置は全企業に義務化されており、2026年10月にはカスタマーハラスメント対策義務化も迫っています。これらへの対応窓口を整えることは、コンプライアンスの観点からも急務です。

 

 

 


「話を聞くだけ」ではない相談体制の整備へ

社内に相談窓口を置くことの難しさは、担当者が当事者になってしまうという点にあります。ハラスメントの相談を、直属の上司と同じフロアの人事担当者に持ち込みにくい—これは、どの職場でも起こり得る構造的な問題です。

外部の相談窓口を設けることで、従業員は会社への遠慮なく話せる場を持てます。当事務所では、心理士と社会保険労務士が連携した外部相談窓口の一元化サービス「ここワーク(KokoWork)」を提供しています。個人の心のケアと組織の仕組み改善を同時に進める設計で、カスハラ・パワハラ対策など複数の法定窓口義務も一括してカバーできます。 

「うちの規模では大げさかな」と感じる担当者の方にこそ、まず話だけでも聞いてほしいと思っています。五月病への早期対応は、新入社員一人ひとりの問題ではなく、職場全体の文化をつくる取り組みです。

新入社員のメンタルケア、一人で抱え込まずにご相談ください

「うちの規模で相談窓口なんて…」と思っていたとしたら、ぜひその考えごと、まず専門家に話してみてください。

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このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

特定社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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