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令和8年10月、パート・有期雇用の「待遇の説明」が変わります──沖縄の担当者が今から準備しておきたいこと

令和8年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働法と同一労働同一賃金ガイドラインの改正が施行されます。非正規雇用が働く人全体の約4割を占めるようになった今、雇用形態にかかわらず公正な待遇を確保していこう、という流れの中での見直しです。

沖縄では、若年層の非正規割合が全国を上回り、20代女性の正規比率が全国より低いといった構造的な特徴があります。同時に、求人倍率が長く1倍を超え、人手不足が全産業で深刻化しています。パート・有期雇用で働く方の待遇をどう整えるかは、単なる法対応にとどまらず、人材の確保と定着に直結する経営課題でもあります。だからこそ、この改正は沖縄の企業様にとって特に向き合う意味の大きいテーマだと言えます。

 

今回の改正、大きく分けて3つの柱

 

改正内容は多岐にわたりますが、担当者様が押さえておきたい柱は3つです。

1つ目は、雇入れ時の明示事項が追加されることです。これまでも昇給・退職手当・賞与・相談窓口の明示が求められてきましたが、そこに「正社員との待遇の相違の内容や理由などについて、説明を求めることができる」という旨を、文書で明示することが加わります。労働条件通知書の様式を見直す必要が出てくるということです。

2つ目は、同一労働同一賃金ガイドラインの拡充です。近年の最高裁判決を踏まえ、どのような待遇差が不合理と判断されうるのかの考え方が、手当ごとに具体化されました。

3つ目は、雇用管理指針の改正です。福利厚生施設の利用や、説明の方法、正社員転換制度の情報公表といった、雇用管理を改善するための措置が加えられています。

 

手当ごとに「性質と目的」で判断する時代へ

 

拡充されたガイドラインでは、それぞれの待遇について「その手当は何のために支給しているのか」という性質・目的に照らして、不合理な差がないかを見ていく考え方が示されています。これは実務上、かなり丁寧な整理を求められる部分です。

たとえば賞与や退職金には、労務の対価の後払いや功労への報償など、複数の目的が含まれます。こうした目的が当てはまる場合には、職務の内容などの違いに応じた均衡のとれた支給をしていないと、不合理と判断される可能性があります。家族手当についても、契約更新を繰り返し継続的な勤務が見込まれる有期雇用の方には、正社員と同じ支給が求められる場面が出てきます。住宅手当が転居を伴う配置転換の有無に応じて支給されているなら、同様の配置転換があるパート・有期の方にも同じ扱いが必要になります。

 

さらに、病気休職や休暇、夏季・冬季休暇、社内の物品販売所や駐車場といった福利厚生施設の利用条件まで、性質と目的に照らした点検の対象に含まれてきます。自社の手当や制度を一つひとつ棚卸しし、「なぜこの差があるのか」を言葉にできる状態にしておく作業は、想像以上に工数がかかります。就業規則や賃金規程、労働条件通知書を横断的に見直す必要があり、担当者様お一人で抱え込むには負担の大きい作業になりがちです。

「相談するほどでもないかな」と思っていることが、実は一番大事だったりします。

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対応が遅れると、どんなことが起こりうるのか

 

まず押さえておきたいのが、待遇差をめぐる説明のトラブルです。改正後は、パート・有期雇用の方から求めがあれば、正社員との待遇の相違の内容や理由、その待遇を決める際に考慮した事項を説明しなければなりません。そして、説明を求めたことを理由に、その方を不利益に取り扱うことは禁じられています。ここで、自社の手当の目的を整理できていないと、いざ問われたときに納得のいく説明ができず、労使の信頼関係が揺らぐ事態になりかねません。

沖縄は定期監督における法令違反率が全国平均を上回る水準で推移しており、労働条件の明示や待遇の整備は、行政からも注視されやすい領域です。「まだ先のこと」と後回しにするより、施行前の今のうちに足元を固めておくことが、結果的に安心につながります。

見落とされがちなのが、格差の解消の仕方です。不合理な差をなくそうとするあまり、正社員の労働条件を引き下げて足並みをそろえる、という方向は法の趣旨に沿いません。あくまでパート・有期雇用の方の労働条件を改善していく、底上げの発想が求められます。人材確保や定着の観点からも、待遇を整えることは前向きな投資として意味を持ちます。

 

施行前の今こそ、落ち着いて自社を点検するとき

 

ここまで見てきたように、今回の改正は「何か一つを直せば終わり」というものではなく、労働条件通知書の様式、手当や休暇の性質・目的の整理、説明できる体制づくりまで、複数の要素が絡み合っています。裏を返せば、施行までの時間を使って一つずつ整えていけば、十分に間に合う内容でもあります。

厚生労働省も、企業の取り組みを支える仕組みを用意しています。正社員化や賃金規定の見直しなどに取り組む事業主向けのキャリアアップ助成金は、要件を満たす場合に活用できる可能性があります。また、全国の都道府県に設置された働き方改革推進支援センターでは、専門家による無料相談を受けられます。

 

とはいえ、「自社の手当は結局どう整理すればいいのか」「就業規則のどこから手をつけるべきか」といった判断は、制度の全体像と自社の実情の両方を踏まえる必要があり、専門的な視点があると格段に進めやすくなります。パート・有期雇用の就業規則を作成・変更する際には、その方たちの過半数代表者の意見を聴くよう努めることも求められており、こうした手続き面の設計も含めて相談できる相手がいると心強いはずです。地域の実情を知る社労士として、御社の状況をお聞きしながら、無理のない進め方を一緒に考えていければと思います。

パート・有期雇用の待遇、令和8年10月に向けた点検は進んでいますか

労働条件通知書の様式見直しから手当の性質・目的の整理まで、御社の現状をお聞きしながら一緒に進めます。まずは気になっている点をお聞かせいただくだけで構いません。

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このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

特定社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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