沖縄県内でも人手不足が深刻化する中、社員が長く安心して働ける環境づくりは経営の最重要課題となっています。しかし、法律の改正や最低賃金の上昇により、これまでの給与計算や労働時間管理のままでは、知らず知らずのうちに法律違反の状態になってしまうケースが増えています。
特に2025年は、沖縄県の最低賃金が1,023円(令和7年12月発効)へと大きく引き上げられた節目の年でもあります。
今回は、忙しい経営者の皆様に向けて、今すぐ確認しておきたい残業代(時間外手当)のルールと、トラブルを防ぐためのポイントを専門用語を使わずにわかりやすく解説します。
「残業代」のルール
まず押さえておきたいのが、法律の変更と最低賃金の上昇です。これらは会社の規模に関わらず、すべての企業に影響します。
中小企業も「月60時間超」の残業代がアップ これまで中小企業では猶予されていたルールが変わり、月60時間を超える残業については、割増率(上乗せする割合)が50%に引き上げられています。これまでは25%増しで計算していた部分も、長時間労働になった場合は1.5倍の支払いが必要になるということです。
沖縄県の最低賃金上昇による影響 沖縄県の最低賃金が1,023円になったことで、残業代の単価も変わります。残業代は「1時間あたりの賃金 × 1.25倍」で計算するため、最低賃金で働いている方でも、残業時の時給は1,279円以上となります。 もし、月給制の社員さんで「基本給の中に残業代も含んでいるつもり」で運用している場合、この計算に基づくと金額が足りなくなり、未払いが発生してしまうリスクがあります。
「固定残業代」と「管理職」の誤解
多くの企業で導入されている制度ですが、実は運用を間違えやすいポイントが2つあります。ここを曖昧にしておくと、後から大きなトラブルに発展することがあります。
「固定残業代」は万能ではありません 毎月決まった額の手当を出しているからといって、いくら残業させても良いわけではありません。 例えば「営業手当 5万円」として支給している場合、それが「何時間分の残業代なのか」を雇用契約書ではっきりと決めておく必要があります。そして重要なのは、その時間を超えて働いた分については、別途差額を支払わなければならないという点です。 「手当を出しているから残業代は計算しなくていい」というのは誤りですので、注意が必要です。
「店長=管理職」とは限りません 法律上の「管理監督者」として認められると、残業代の支払いは不要になります(深夜割増は必要)。しかし、単に「店長」という肩書きがあるだけでは認められません。 「経営に関わる重要な決定権があるか」「出退勤の時間を自分の裁量で決められるか」「十分な待遇がされているか」といった実態が厳しく見られます。 タイムカードで時間を管理され、遅刻したら給与が引かれるような働き方の場合は、一般社員と同じように残業代の支払いが必要になることがほとんどです。
勤怠管理が会社を守る
「うちはタイムカードがないから大丈夫」と考えるのは非常に危険です。 現在は、スマートフォンのGPS記録(Googleマップのタイムライン)や、交通系ICカードの履歴、業務メールの送信時間など、デジタルデータが労働時間の証拠として採用される時代です。 会社側で正確な記録を残していないと、万が一トラブルになった際、客観的な反論ができなくなってしまいます。
正しい勤怠管理を行うことは、社員への未払いを防ぐだけでなく、過度な長時間労働を抑制し、結果として会社を守ることにつながります。
よくある質問
専門家がお答えします(Q&A)
Q. 従業員から「残業代が含まれているとは聞いていない」と言われました。どうすればいいですか?
A. まずは雇用契約書をご確認ください。
固定残業代(定額の残業手当)を導入するには、契約書や就業規則で「基本給」と「固定残業代」が明確に分かれており、かつ「それが何時間分の残業代なのか」が明記されている必要があります。もし口頭だけの約束だった場合、認められない可能性が高いため、早急に契約内容を見直し、書面で合意を取り直すことをお勧めします。
| 項目 | 2025年のチェックポイント |
|---|---|
| 最低賃金(沖縄) | 時給1,023円を下回っていないか確認 |
| 月60時間超の残業 | 割増率が50%(1.5倍)で計算されているか |
| 固定残業代 | 超過分を支払っているか、契約書に明記あるか |
まとめ
沖縄の労務管理・就業規則見直しのご相談なら
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このコラムを書いている人
玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由



