· 

【沖縄の経営者様へ】社員の副業トラブルを防ぐには?「隠れスポットワーク」のリスクと就業規則の対策

人手不足が続く沖縄県内でも、「給与の足しにしたい」「スキルアップしたい」と副業を希望する従業員の方が増えてきました。 採用力を高めるためには「副業OK」とするのが時代の流れです。しかし、会社としてのルールを決めずに「なんとなく」認めてしまったり、あるいは見て見ぬふりをしていたりしませんか?

実は、会社が把握していない副業(いわゆる「隠れバイト」)には、思わぬ落とし穴があります。特に最近はスマホ一つで数時間だけ働ける「スポットワーク」が普及し、管理が難しくなっています。

今回は、副業解禁時代に会社が直面するリスクと、会社と社員の双方を守るための対策について、お話しします。

 

「知らない」では済まされない?会社の安全配慮義務

副業における最大の問題は、労働時間の管理と健康管理です。 法律では、複数の会社で働いている場合、その労働時間を通算(合計)して管理するルールがあります。これは非常に複雑な計算になるため、多くの経営者様が頭を抱える部分です。

しかし、計算の手間以上に怖いのが「健康管理」のリスクです。 もし、社員が本業の後に深夜までアルバイトをして、疲労が蓄積し、本業中に事故を起こしたり、過労で倒れてしまったりしたらどうなるでしょうか?

「会社は副業を許可していない(または知らなかった)」と主張しても、今の法律や裁判の傾向では、「会社は社員の健康状態を把握し、配慮する義務(安全配慮義務)があった」として、責任を問われる可能性が高まっています。 特に、社員から「副業をしたい」と届け出があったのに放置していたり、明らかに疲れている様子を見逃していたりすると、会社側の落ち度とみなされるリスクがあるのです。

 

スマホで手軽な「スポットワーク」の落とし穴

最近、沖縄でも利用者が増えているのが、面接なしですぐに働ける単発アルバイトのアプリ(スポットワーク)です。 これらは非常に便利ですが、労務管理の視点からは「見えないリスク」の温床となりがちです。

 

・労働時間の管理ができない 数時間単位でさまざまな場所で働くため、会社が労働時間を把握することが物理的に難しくなります。

・本人が「労働」だと思っていない お小遣い稼ぎの感覚で、休憩時間や休日に無理をして働いてしまい、知らず知らずのうちに過重労働になっているケースがあります。

・情報漏洩の懸念 副業先で、自社の顧客情報やノウハウをうっかり話してしまうリスクもゼロではありません。

 

これらを放置することは、会社にとっても社員にとっても危険です。だからこそ、「禁止」するのではなく、「正しく管理する」体制への転換が必要です。

 

会社を守るための「ルール作り」3つのポイント

トラブルを防ぐためには、就業規則(会社のルールブック)を今の時代に合わせて見直すことが不可欠です。

  1. 「許可制」または「届出制」を明確にする 副業を全面的に禁止することは、法律上難しくなっています(職業選択の自由があるため)。しかし、「本業に支障が出る場合」や「競合他社での副業」などは禁止・制限することができます。 「いつ、どこで、何時間働くのか」を事前に会社に報告させるルールを徹底しましょう。

  2. 健康状態の報告を義務付ける 「副業のせいで本業がおろそかになったり、健康を害したりしていると会社が判断した場合は、副業を禁止または制限できる」という条文を入れておくことが重要です。これにより、いざという時に会社がストップをかける根拠ができます。

  3. 秘密保持の約束を交わす 副業を始める際に、会社のデータを持ち出さないことや、職務上知り得た秘密を守ることを改めて約束(誓約書への署名など)してもらいましょう。

副業は、正しく運用すれば、社員のスキルアップやモチベーション向上につながり、結果として本業にも良い影響をもたらします。「臭いものに蓋」をするのではなく、お互いが安心して働けるルールを作ることが、信頼関係を築く第一歩です。

 

まとめ

専門家がお答えします(Q&A)

Q. 副業を完全に禁止することはできますか?

A. 原則として、勤務時間外の行動は社員の自由であるため、全面的な禁止は難しいのが現状です。
ただし、同業他社で働くこと(情報漏洩のリスク)や、深夜労働が続いて本業に遅刻する(健康破壊のリスク)といった具体的な悪影響がある場合には、禁止や制限が認められます。大切なのは「どのような場合にダメなのか」を就業規則にはっきりと書いておくことです。

Q. 社員が副業先でケガをしました。うちの会社の労災になりますか?

A. 副業先での業務中のケガであれば、原則として副業先の労災保険が適用されます。
しかし、過労による病気(脳・心臓疾患や精神疾患など)の場合は、本業と副業の「負荷の合計」で判断される仕組みに変わりました。つまり、どちらの会社も「働きすぎ」を防止する責任があるのです。だからこそ、副業の状況を把握しておくことが会社を守るために重要なのです。

これまでの対応 これからの対応(推奨)
副業は原則禁止 原則容認しつつ、届出制で管理
プライベートには関与しない 健康管理のために労働時間を把握
見つかったら処分を検討 事前にルールを周知しトラブル予防

沖縄の労務管理・就業規則見直しのご相談なら

御社の実情に合わせた、リスクに強い雇用契約書や就業規則の作成をサポートします。
まずはお悩みをお聞かせください。

初回無料相談を予約する

🔒 秘密厳守 ⏱ 24時間受付中


このコラムを書いている人

玉城翼の写真

玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

▶コラム: 私が社労士になった理由