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「試し出勤」の正しい始め方と給与のルール

「休んでいた社員から『来月から復帰できます』と診断書が届きました。すぐ元通りの仕事をさせても大丈夫でしょうか?」

最近、沖縄県内の経営者様から、こうしたメンタルヘルス不調(うつ病など)による休職・復職のご相談が増えています。 人手不足の今、社員が戻ってきてくれるのは嬉しいことですが、ここで焦って「じゃあ、来週からフルタイムでよろしく!」と復帰させてしまうと、実は大きなリスクがあることをご存じでしょうか。

今回は、社員が無理なく職場に戻るための「試し出勤(リハビリ出勤)」の仕組みと、経営者が知っておくべき「お給料のルール」について、わかりやすくお話しします。

 

「生活できる」と「働ける」は違います

主治医の先生が書く「復職可能」という診断書。実はこれ、多くの場合「日常生活が送れるようになりました(朝起きて、ご飯を食べて、夜眠れる)」という意味であることが多いのです。 しかし、会社で働くには、通勤ラッシュに耐え、複雑な業務をこなし、お客様や同僚とコミュニケーションを取る必要があります。

つまり、「生活できる状態」と「バリバリ働ける状態」の間には、大きなギャップがあります 。 このギャップを無視して、いきなり休職前と同じ仕事を任せてしまうと、負担に耐え切れず、またすぐに体調を崩して再休職してしまうケース(負のスパイラル)が後を絶ちません。これでは、本人も自信を失い、会社も対応に疲弊してしまいます。

復帰のクッション「試し出勤」とは?

そこで有効なのが、「試し出勤(トライアル出勤)」という仕組みです 。 いきなり業務に戻るのではなく、まずは「リハビリ期間」を設けます。

 

ウォーミングアップ: まずは「毎日決まった時間に会社に来る」ことから始め、生活リズムを取り戻します。

確認(アセスメント): 本当に仕事に耐えられる集中力や体力があるか、会社側が実際の様子を見て確認します。

慣らし: 久しぶりの職場の雰囲気に少しずつ慣れてもらい、「また働けるかな」という不安を和らげます。

 

「給料は払うの?」ここが一番の悩みどころ

経営者様が一番悩まれるのが、「この試し出勤の間、お給料は払うべきなのか?」という点です。 結論から言うと、「その活動が『仕事(労働)』なのか『治療・訓練』なのか」で決まります。

もし、会社が「朝9時から5時まで、この仕事を絶対にやってください」と命令し、成果を求めるのであれば、それは「仕事」とみなされ、お給料(賃金)の支払いが必要になります。 一方で、「あくまでリハビリとして、本人のペースで来ていいですよ。仕事の責任はありませんよ」という形であれば、「治療・訓練」の一環とみなされ、お給料が発生しない(あるいは傷病手当金を継続する)という判断になるケースが一般的です。

しかし、この線引きは非常にあいまいで、「言った言わない」のトラブルになりやすいポイントです。過去の裁判でも、この「試し出勤中の給料」を巡って大きな争いになったケースがあります。 だからこそ、「なんとなく」で始めるのではなく、きちんとしたルール決めが不可欠なのです。

 

よくある質問

専門家がお答えします(Q&A)

Q. 試し出勤中の給与は、必ず支払わなければなりませんか?

A. 状況によります。「労働」とみなされるかどうかが判断の分かれ目です。
会社が業務を指示し、働かせている実態があれば、当然給与の支払いが必要です。一方、業務をさせず、あくまで「治療・リハビリ」として本人の自由意思で行う場合(無給)は、業務命令を行わない、生産活動に従事させないなどの厳格な運用が必要となります。

Q. 試し出勤はずっと続けてもいいのですか?

A. 期間を区切ることをおすすめします。
長期間ダラダラと続けると、事実上の「労働」とみなされ、給料の支払い義務が生じるリスクが高まります(過去の裁判例より)。通常は1ヶ月〜3ヶ月程度で区切り、復職できるかどうかの最終判断を行うのが一般的です。

項目 あいまいな運用のリスク
労働性の判断 リハビリのつもりが「働かせた」とみなされ、未払い賃金を請求される
万が一の事故 通勤中や社内でケガをした場合、労災が使えるかどうかが複雑になる
復職の可否 いつまで経っても完全復帰できず、辞めさせることもできなくなる

 

まとめ

沖縄の復職支援・就業規則のご相談なら

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このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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