2026年5月18日、厚生労働省が労働政策審議会の分科会において、従業員50人未満の事業場へのストレスチェック義務化の施行期日を「2028年4月」と正式に明示しました。「公布後3年以内」という表現にとどまっていた期日が具体的な日付として確定したことで、これまで準備を先送りにしていた事業場にとって、いよいよ動き出すタイミングが明確になったといえます。
「うちは従業員が少ないから、まだ関係ない」—そう思いながら後回しにしてきた状況は、この発表で一変します。ストレスチェックの実施率は、50人以上の事業場では84.7%に達している一方、50人未満の事業場では32.3%にとどまっています。2028年4月まで約2年。準備に使える時間は、思っているより短いかもしれません。
法改正で、何が変わったのか
2025年5月14日、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が公布され、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業場にも、ストレスチェックの義務化を拡大することが決まりました。
厚生労働省は2026年5月18日の労働政策審議会分科会において、従業員50人未満の事業場への義務化の施行期日を2028年4月と正式に明示しました。
「まだ2年先の話では」と感じるかもしれません。ただ、厚生労働省は2026年2月25日に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を正式に公表しています。マニュアルが出た、ということは実務準備のスタート合図でもあります。
なお、今回の法改正では、小規模事業場への配慮も盛り込まれています。50人未満の事業場については、労働基準監督署への報告義務は課さないこととされており、負担軽減の観点から特例的なルールが設けられる見込みです。
この改正が動き出した背景には、深刻なデータがあります。仕事上の強いストレスを原因とする精神障害の労災支給決定件数は増加傾向にあり、令和5年度には883件と過去最多を更新しました。数字として現れている以上、対策を後回しにすることのリスクは、もはや規模の大きな企業だけの問題ではありません。
沖縄では、観光業や飲食業、小売業といった第3次産業を中心に、従業員数十人規模の事業場が多く集まっています。離職率の高さや若年層のメンタルヘルスの課題は、日頃の業務の中で肌感覚として持っている担当者も少なくないはずです。そうした職場環境の整備という文脈でも、今回の義務化は真剣に向き合うべき制度変更といえます。
小規模事業場ならではの「実施体制」をどう整えるか
従業員50人以上の事業場では産業医の選任が義務付けられており、ストレスチェックの「実施者」として機能するケースが一般的です。しかし50人未満の事業場では産業医が選任されていないことも多く、「誰が実施者になるのか」という点が、最初の実務的な壁になりがちです。
法律上、ストレスチェックには「実施者」(医師・保健師・公認心理師など)と「実施事務従事者」の設置が義務付けられています。厚生労働省の小規模事業者向けマニュアルでも、社内に資格保有者がいない場合は外部の専門家へ委託することが現実的かつ推奨される対応として明記されています。つまり、自社内で完結させることにこだわらず、専門機関を活用することが制度の前提として想定されているのです。
また、集団分析についても注意が必要です。対象集団が10人未満の場合、個人が特定されるおそれがあるため、原則として集団分析を実施してはなりません。全員の同意を得るか、他の事業場と合算するなどの工夫で匿名性を担保することが可能とされています。人数が少ない職場ほど、プライバシーへの配慮が一層重要になります。
こうした実施体制の設計、外部委託先の選定、従業員への説明方法の検討と、準備すべき事項は実際にはひとつひとつ積み上げていく作業です。担当者一人で全部を調べながら進めるには、相当な工数がかかります。
「相談するほどでもないかな」と思っていることが、実は一番大事だったりします。
初回無料相談はこちら「まだ先の話」と思っていると、準備が間に合わないことも
2028年4月という期日が明示されたとはいえ、実際の準備を始めてみると「外部委託先を探す」「実施方針を策定する」「従業員に制度の趣旨を説明する」と、ひとつひとつには時間がかかります。
小規模事業場でストレスチェックの実施が広がらない主な理由として、実施コストが高い、実施体制が脆弱、面接指導後の対応が難しいという3点が挙げられています。これらはいずれも「準備期間を十分に確保すれば対処できる課題」でもあります。逆に言えば、直前になってから動き始めると、選択肢が狭まります。
また、義務化の有無にかかわらず、小規模な事業場において労働者が長期欠勤や離職に至ることは、周囲への負荷増大やノウハウ流出といった経営上の大きなリスクに直結します。制度対応を「法律に従うため」と位置づけるより、「職場を守るための投資」として捉えると、取り組みの優先度も変わってくるのではないでしょうか。
まず何から始めるか
具体的には、次の順序で確認を進めると整理しやすくなります。
まず、自社の各事業場における従業員数を把握します。「会社全体で何人か」ではなく、「各事業場に常勤する従業員が何人か」が基準になる点に注意が必要です。事業場ごとに判定するため、複数拠点を持つ場合は拠点別に確認しておくことが大切です。
次に、外部委託の選択肢を比較検討します。委託先によってレポートの見やすさや改善提案の有無、高ストレス者への対応サポートの充実度は大きく異なります。「実施して終わり」ではなく、結果を職場改善につなげるところまで伴走してくれる体制かどうかを確認するのが重要な選定ポイントです。
当事務所のストレスチェック支援サービスでは、自社開発システムによる直感的なレポート、社労士と公認心理師のハイブリッド体制による実施者代行・実施事務従事者代行、そして集団分析から具体的な職場改善アクションの提案まで、一貫してお任せいただける体制を整えています。Web受験660円/人という料金体系は、外部ツールへの依存をなくした自社開発だからこそ実現できた価格です。
そして、実施後の「高ストレス者対応」まで見通した体制づくりを行います。医師による面接指導が必要になる場合の連絡先の確保や、面接後の就業上の対応方針を事前に整理しておくことで、いざというときの動きがスムーズになります。
「どこから手をつければよいか」という段階から、専門家を活用することが、結果的に効率的な対応につながります。まず現状をお聞かせいただくだけで構いませんので、お気軽にご相談ください。
職場のSOSを、早期発見
ストレスチェック制度導入
50人未満の事業者にも義務化が迫るストレスチェック。公認心理師と連携し、実施から集団結果フィードバックまで一貫してサポートします。数字で終わらせず、職場改善につなげることがゴールです。
- ✓ ストレスチェック実施・集団結果フィードバック
- ✓ 公認心理師との連携サポート
- ✓ 結果を踏まえた就業環境改善の提案
ストレスチェックの導入準備、どこから始めればよいかご相談ください
実施体制の設計から外部委託先との連携方法まで、貴社の規模に合わせた進め方を一緒に整理します。まず現状をお聞かせいただくだけで構いません。
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このコラムを書いている人
玉城 翼(たまき つばさ)
特定社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由



